第423話 完全なる魔神へと
正宗は琢磨の黒い魔法の翼が大きくなる仕組みを理解した。
周りに生えている草木からエネルギーを吸収していたのだ。
琢磨の両手は黒い魔力が圧縮して造られた鉤爪の様な手へと変化していた。
それは鋭い爪を持った悪魔の様にも見える鉤爪だった。
魔神化が進んでいる事に正宗はこれ以上の時間をかけないように素早く、動き出す。
名殺神剣を強く握りながら、走る正宗は琢磨の全身から溢れ出した黒いオーラを切り裂きながら、琢磨の元へと走り込む。
琢磨に近づけば、近づく程黒いオーラは濃く、隙間が無い。
正宗は名殺神剣でもさばけない程の黒いオーラへの対処が出来ない時点でこれ以上は近づけないと判断すると、正宗は琢磨との距離を取る為、後ろへ後退して距離を取る。
「逃れられないよ。僕の妖術からは」
琢磨は黒いオーラを右手から放ち、正宗へと放つ。
その範囲やオーラからして切り裂いても、オーラから逃れられ無いと判断した正宗は名殺神剣を連続で振るう。
しかし、黒いオーラを切っても無くなる訳では無い為まるで、濃い霧を切っても意味が無いように琢磨の黒いオーラを切ってもオーラの量は減ることは無く、むしろ増えていく。
正宗の振るう剣の速度では琢磨の黒いオーラへの対応が追い付かず、正宗の全身は黒いオーラに包まれる。
黒いオーラに包まれた正宗はエネルギーを吸いとられ、名殺神剣を維持出来ずに能力は解除される。
黒いオーラを全て、自身の魔力として戻した琢磨の腕は更に魔神に近いものへとなっていた。
正宗の元には医療班が転移魔法によって連れていく。
「残るは、リーダーと副リーダーだけか」
琢磨はチーム[クリムゾン]の残りの数を把握すると再び歩き出す。
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琢磨によってチーム[クリムゾン]のメンバーの五十嵐京介デューク・クラーク、斉木正宗が倒された事によってチーム[クリムゾン]の副リーダーである石原碧人は苛立ちを隠せずにいた。
そんな碧人は一人の男の後ろ姿を目にする。
「仁」
碧人は目に写った人物の名を声に出す。
その人物は名を呼ばれた事によって振り返る。
「石原か。残りは俺達だけみたいだな」
「あぁ、残りはリーダーの杉崎琢磨、副リーダーの守川翔馬と守田琴美の三人だな」
「取り敢えず、転移魔法に規制がかけられている事もある。急に目の前に現れる事は無いだろう」
「……取り敢えず、一人少ないのをどう対処するかだな」
「どうでも良い。強者だけが生き残る。この世は弱肉強食だ」
 




