第414話 犯人探し
翔子のその一言に国光はおぼろ気な記憶を思い返していた。
千葉支部は医療が発達しており、日本のみならず世界中から患者が来る程だ。しかし、その反面解剖等の技術面もある為、裏表が激しい場所として国光は記憶していた。
「チーム[シャドウ]ってどんな奴等で構成されている?」
「詳しくは知らないけど、リーダーはあの金田家の人間らしいよ」
「解剖させれば右に出るものは居ないと言われているらしいな?」
「ええ、チーム[シャドウ]のリーダー金田重信は近々当主になるそうよ」
「高校一年にして当主の器か」
「ええ、実力は折り紙つきね」
「……取り敢えず、チーム[シャドウ]を調べるぞ」
国光、翔子の二人はチーム[シャドウ]のリーダー重信の後ろを居た。
重信はそんな二人に気づいてか、その足はどんどんと人気の無い場所へと向かっていく。
「国光君。どう思う?」
「……気づいてるな。多分」
「それでも、行くんでしょ?」
「……あぁ、落とし前をつけないとな」
「そうね。それ位でしか信頼を取り戻せないでしょうからね」
「……気、緩めるなよ」
「分かってる」
重信は廃ビルの中へと入っていく。
そんな重信を見て、険しい表情で翔子は廃ビルの入り口を睨み付ける。
「……完全に誘ってるわね」
「あぁ、お前はここで待って居ても良いぞ」
「ここまで来て、それは無いでしょう」
「……銃の手入れは済んでいるか?」
「ええ、いつでも大丈夫よ」
国光は翔子への確認を終えると、廃ビルへと足を進める。
入って直ぐに二人は気がつく。廃ビルの内装は全て継ぎ接ぎだけでまるで何かで縫われた様にも感じさせる。
国光はそんな廃ビル内を何事も無い様に歩いていく。
そんな国光とは違い翔子は警戒を怠る事無く、国光の後に続く。
「……なんの用だ?」
廃ビルの屋上で重信は国光、翔子を待っていた。
「聞きたい事があってな」
「なんだ?」
「俺達が具合が悪くなった理由についてと、言ったら分かるか?」
「あれは俺では無く、副リーダーが勝手にやっただけだ」
「だからと言って、引き下がれるかよ」
「それじゃ、勝負してやるよ。お前達が俺を倒す事が出来たら、この大会チーム[シャドウ]は棄権する。どうだ?」
「それで、構わない」
「と、言っても、この勝負始まってるけどな」
「やはり、この廃ビルを継ぎ接ぎだらけにしたのはお前か?」
「そうだ。忠告してやる。このビルは俺の能力によって縫われているだけだ。意味が分かるか?俺がその気になればこのビルいつでも崩せるからな。それだけは覚えておけ」




