第406話悲痛の叫び
「ああああああああああっ……ああああああああああぁ!あああああああああ!」
琴乃のその叫びを琢磨は耳を塞ごうとしたい所だが、魔法の鎖に縛られている為、耳を塞ぐことが出来ずに琴乃のその叫びを聞くことしか出来ずにいた。
「……一つ。入れ終わりました」
相沢家の当主のその言葉に琢磨の父は不思議そうな表情を浮かべると、口を開く。
「言った筈だ。一万入れると」
「しかし、一つだけで精神的に殺られている。これ以上やったも無駄死だ。それでもさせるつもりか?」
「こいつの代わりは幾らでも居る。お前の娘も同い年だったと思ったが?」
「……関係無い者を巻き込むか?」
「巻き込むかはお前次第だ」
琢磨の父の言葉を受け、相沢の当主は魔法の鎖を数個手に取り、琴乃の腹に無理矢理押し付ける。
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「……相沢家が執り行う儀式に初めて来たが、いつもこんな感じなのか?」
相沢家の次期当主は父である相沢家の現当主に確認を取る様に告げる。
そんな相沢家の次期当主は全身の力が抜けており、地面にぐったりと座っていた。父である相沢家の現当主はかろうじて、立っていた。
「今回位だ。こんな事は」
「……あの子生きているのか?」
「……お前はどう思う?」
「……分からない。でも、人間の目ではなかった。あの子の目は全てに絶望して、誰も避けつけないそんな目だった。そんな目をした子に魔法の鎖に入れるのは、辛かった」
「……その苦しみ。身内に出来たか?」
「他人だったからこそ、出来た部分もあった。でもよ。そんな事ー」
「そんな事を続けて相沢家は成り立っている。そんな事をやることで相沢家の家計はやりくりされている」
「……知りたくなかったな。嫌になるよ。この仕事」
「……そう言うな」
「親父は何年やって来たんだ?」
「二十年以上だ。儀式を必要とする場合、ろくな事では呼ばれない。今回は異常だったよ」
「辞めようとは思わなかったのか?」
「……思たよ。でも、嫌な事をしてまで育てなければいけない奴が居たからな」
「……迷惑かけたな。俺の為に続けいたのか?」
「お前だけでは無いさ」
「俺も後、三ヶ月で父親だ。でも、子供を抱ける気がしない」
「そんなでは父親にはなれんぞ」
「……あの子の目を見てから、震えが止まらない。俺は禁忌を犯した」
「違うな。俺達だ」
「相沢家はいつまでもこの儀式を続けるんだ?」
「……無能力者は人工的でも能力者になりたがるんだよ。その人達が居なくなるまでだ」
「……無能力者が居る限り、続くんだな。俺の代じゃ無くなりそうも無いな」




