第40話 高速の氷
上原氷雪って[雷帝軍]の副リーダー。
水色の髪に色白な肌……そんな事よりもどことなく紫音に似ている。
何でこんな所に?
「石原碧人、もう終わりだ。周りは取り囲まれている」
上原さんのその一言に石原碧人はキョロキョロと周りを見渡す。
どうやら助けに来てくれた様だ。
「上原氷雪……ただただ早く氷を出すだけの能力者がおれに勝てると思うのか?」
石原碧人は上原さんに向かって怒鳴り散らす。
「君は下がって良いよ」
上原さんは舞に優しく話しかけている。
舞は俺の隣に移動した。
「大丈夫だよね?」
「だぶん……な」
舞は俺に聞いて来た。
上原氷雪さんの実力は全く分からない。
分かっているのは俺も舞も[雷帝軍]の副リーダーとゆう一つだけの情報しか無い。
「男ならそこに居る女の子は守って貰おうか」
上原さんは俺を真っ直ぐ見て話をしてくれた。
それと同時に大きな物音が聞こえる。
後ろからだ。
後ろには石原碧人の強度な氷がある。
石原碧人の強度な青い氷を割って水色の氷が現れる。
俺は舞の手を繋ぎ前に走る。
これは上原さんの仕業か?
石原碧人の氷が破壊された。
破壊された石原碧人の氷は地面に落ちる。
「これで証明出来たろ……石原家の家出少年」
「黙れ、うるさいんだよ。いつもいつも俺を見下しやがって」
「だからこそ、檜山仁とつるんでいるのか?」
「仁を侮辱するな……殺してやっ……」
……石原碧人の声が止まった。
「廉……あれ」
舞が石原碧人の顔を指差し何かを伝えようとしているが離れていて分からない。舞は良く見えるな。俺は目を凝らしてみる。
「……舞、何が見えるんだ?」
「……口の中が凍ってる」
……えっ?
まさか上原さんの氷か?
口の中だけを凍らせるなんて、正確な操作だ。
これで石原碧人は口を閉じることも開くことも出来ない訳か。
あの石原碧人の氷よりも優れた氷系の能力者……これが[雷帝軍]の副リーダー
上原氷雪さん。
「悪いが言い訳もその汚い言葉も聞くつもりもない」
上原さんがそう言うとその直後石原碧人の全身は凍りついた。
早すぎる。
その一言だけが俺の頭を埋め尽くしていた。
石原碧人の出した氷はどうやって割ったんだ。
「これは……」
石原碧人の氷は周りに沢山あるが、全て上原さんの氷で壊されていた。
後ろのデカイ氷は気づけたが壁が地面等の氷はいつの間にか壊されていた。
やはり、上原さんの氷はとんでもなく早い様だ。
俺の足元の氷を見るとどうやって破壊したのか理解できた。
石原碧人の氷の中に上原さんの氷を急速に造り出した様だ。
その証拠に完全に破壊出来ずに下は石原碧人の氷でその上に上原さんの氷がある。
一体どんな氷系の能力者なんだろう?
内部に氷を造り出せるとしたら、人間なんてひとたまりもない。
けど、そんな能力聞いた事も無いけど……