第384話 強くなるには
氷は造った氷の龍を紫音にぶつけるため、動かす。
紫音は氷の攻撃を凌ぐ為、自身の氷の花びらで造られた龍を氷の氷の竜にぶつける。
紫音の氷の花びらで造り上げられた龍は一瞬で砕け、氷の龍は紫音の左肩にかぶりつく。
紫音の左肩は一瞬で凍りつく。
そして、左腕は切断され氷によって繋ぎ止められていた。
「……左手はもう使えない。このまま続ければ、紫音。お前の体の全てを切断して凍らせる。俺の異能なら簡単に出きるぞ」
紫音は初めて氷の攻撃を受けた紫音は左手が氷で繋ぎ止められている状況に痛みを感じない事に驚きながらも、氷を見つめていた。
氷がその気になれば紫音の左肩では無く、首元にも攻撃することは出来た筈だ。そうしたら、首を跳ねて氷で繋ぎ止める事も出来た筈だ。
「……なんで手加減をした?」
「手加減って言っても、その氷が溶ければ左肩が切断した痛みが襲いかかるぞ」
「……僕は兄として何も……」
「何も……しなくて良いよ。どうせ、出来ないだろう?期待した所でお前には何も出来ない。お前を兄として見た事なんて無かった。お前は戦闘向きではない母さんの異能、氷神の花園と同じ理由というだけで、氷川家の特別な訓練を受け続けた。お前はその間何をしていた?母さんと遊んでいたんだろ?」
「……それは」
「……この俺の強さは俺の苦しみだ。それを理解しろなんて言わねぇ。だから、受け止めろよ。この俺の理不尽過ぎるこの力を!」
氷は無数の氷の龍を造り出す。
そんな龍を見ても紫音は防御の為の氷を造る事無く、立ち塞がる。
「……今日限りでお前との兄弟ごっこも終わりだ」
「氷本気で言ってるのか?」
「………………………」
「迷ってるんだろ?」
「……母さんも父さんも守れなかった俺に紫音を守る力なんて無いんだよ。ここに要られると困るんだよ。紫音!」
氷が造った氷の龍は紫音に目掛け動き出す。
紫音はただ、涙を流しながらも覚悟を決めた氷の凛々しい表情を見て、背を向けて全力で走り出す。
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東京本部
「紫音!」
左腕を失った紫音は花園はるみの元へ訪れていた。
「何があったの?氷川家は青森支部に宣戦布告したてと聞いたけど」
紫音ははるみに今まであった全てを話す。
「そう大変だったわね。……これからどうするつもり?」
「佐倉家に行くよ。花園家に世話になる訳には行かないから」
「……佐倉は氷川家との権力争いに破れた家系よ。どんなに恨まれているか、分かってるの?」
「……佐倉家からの提案だよ」




