第37話勝てない理由
舞に勝機はあるのか?
先ずはこの氷を何とかしないと……俺はもがいてみる。
「私一人で倒してみせる」
「お前には最強の炎剣を作って貰う」
石原碧人は舞の妖魔剣創造で炎剣を創らせるつもりか?
舞は妖魔剣創造を使って、妖刀、魔剣、妖魔剣を作れないだろう。
俺が出来るのは炎神の魔剣を舞に使って貰う。
……使えるのか?
玲奈さんの話じゃあ、異能力、能力で作られた武器は奪えば使える事が出来るがほとんどの場合は使用者によって戻され、使えなくなってしまう。
その武器を自分の物にするには使用者を殺し、奪うのが主流だ。殺してしまえば戻す事が出来ないからだ。奪った武器が必ずしも使えるとは限らない。
武器は人間を選ぶ。
大抵は産まれてくる子供に宿る。
能力、異能力で出す事の出来る武器を神器と呼ばれる。
奪った武器を体内に入れる事は出来ず、持ち歩く事になる。
奪った本人が死んだ場合、一時間位で消え次の適正者の体に行くと聞いた。
俺が舞に炎神の魔剣を渡しても使える保証が全く無い。
舞は俺の目の前に立ったまま動かない。
石原碧人もその場から動かない。
石原碧人の異能氷の金剛石は圧倒的な強度の氷だが、スピードが遅く感じる。
強度の氷な為、造り出すのに時間がかかるのか?
それとも何らかの条件があるのか?
「さて、どんな炎剣を作って貰おっか?」
「私は貴方に勝つ」
石原碧人は余裕な様子で話しているのに対して舞は少し足が震えている。
「舞」
俺の声は間に合わず、舞が持っていた剣は石原碧人の氷によって地面と固定されてしまった。
石原碧人の氷の金剛石は武器と地面を氷で固定させ無力化にできてしまう。
俺や舞は武器を造り出す異能で相性が悪い。
舞は凍りついた剣を捨て、新たに剣を造り出す。
新たに造り出した剣はどこにでもありそうな剣だ。
この剣じゃあ、勝てない……それは舞が一番分かってる事だろう。
やはり、トラウマが妖魔剣創造に影響しているのか?
昔、紅桜を使い暴走した舞は自ら妖魔剣創造を使うのを控えていた。
石原碧人に勝つには妖魔剣創造で妖刀、魔剣、出来れば妖魔剣を使わないと勝てそうにも無い。
炎神の魔武器で俺の全身を燃やせれば、この氷を溶かせる事が出来るのに……俺が弱いから……舞一人、守れないのかよ