第35話 2対1
「行けそうか?」
「うん。大丈夫」
舞は自信満々だ。
妖魔剣創造を使えるのか?
舞は深呼吸をする。
緊張してるみたいだ。
久しぶりに使うからか?
それにしても何の剣を創造するんだ?
妖魔剣創造は妖刀、魔剣、妖魔剣に加えてこの世に無いとされる剣まで作れてしまう。
ここで舞が何の剣を創造するのか……全く想像出来ない。
舞は一本の剣を握る。
剣からは煙が上がってる。
……何の剣だ?
「始めるか。山梨に行く前に手土産を持っていかないとな」
手土産?
ふざけるな。そんな理由で紫音を舞を巻き込んだのか。
「炎神の魔剣」
俺は炎神の魔武器を発動させ、炎神の魔剣を出す。
「二人とも剣か……」
ニヤリと石原碧人は笑うと俺が握る炎神の魔剣に違和感を感じる。
俺が持つ炎神の魔剣は石原碧人の氷によって地面と固定されてしまった。
押しても引いても固定されている。
舞も俺と全く同じ状況だ。
「どうした?」
石原碧人は余裕そうに俺達を眺める。
動く様子も攻撃する様子も無い。
舞は凍りついた剣を諦め、新たに剣を創造する。
創造した剣は普通の剣?
確実なのは妖刀、魔剣、妖魔剣じゃあ無いことは確かだ。
俺の炎神の魔剣は未だに凍りついており、手を放しても地面から伸びた氷によって落ちもせず浮いた状態だ。
「試してみるか」
そう確かめたい事がある。
俺の炎神の魔剣の炎は石原碧人の氷を溶かす事が出来るのか?
試してやる。
石原碧人の氷によって地面と固定された炎神の魔剣を握る。
「うおおおぉぉ」
炎神の魔剣から大量の炎を出す。
「嘘だろ」
炎神の魔剣からは炎が出ているが氷の溶け方は余りにも遅かった。
「やっと溶けた」
溶けるには溶けたが……時間がかかりすぎる。
舞は何度も剣を創造出来るが石原碧人の氷を切ることも防ぐのも難しいだろう。
炎神の魔剣なら時間はかかるが溶かすことができる。紫音の氷を溶かすか?
俺は紫音に目を向ける。
「悪いんだけどさ……この三人で殺ろうぜ」
石原碧人の声だ。
俺は石原碧人に目を向ける。
俺の考えが分かったのか?
舞は剣を持ち構えてるが攻撃する様子はない。
久しぶりに使った妖魔剣創造の影響はない様だ。
影響が出るとしたら紅桜位か?
影が急に形を変える。
俺の背後に大きな氷の壁が現れる。
どうやら紫音の氷を溶かす事は出来そうに無いな。