第324話 親子の再会
「彼の体は魔に対する耐性があるだけでなく、神属性の異常な生命力がある。簡単に死ぬ事は無いよ」
「……お母さんの次は廉……どれだけ私の大切な人達を傷つけるの」
舞は紅桜をジークに向けて叫ぶ。
そんな舞に対して、ジークは魔法陣から魔帝神剣を取り出す。
舞の勢いは魔帝神剣を一目見たその瞬間に懐かしさが込み上げてくる。舞は何となく、昔に見た事がある事に気がつく。
隙だらけの舞にジークは魔帝神剣を振るう。
舞は慌てて、紅桜で防ぐ。お互いにぶつかり合う剣から波紋が広がる。
気がつくと今まで居た場所とは違う空間に居る事に気がついた舞は近くに居た筈の廉を探す。そんな舞だったが、廉よりも先にジークを見つける。
舞は手にしている紅桜をジークに目掛けて振るう。
そんな舞に対して、ジークは微動だにせずに、立ち尽くしていた。
舞の一撃はジークに届き、すり抜けていく。
舞は何が起きたのか理解出来ずに、立ち尽くす。
「共鳴現象は同じ、近い性質のものがぶつかり合う事で起きる現象。この現象は生み出したものだけが同じ空間を共有出来る」
「お前の言う事なんて信じられない」
「信じて貰う必要は無いよ。だが、君は知る事になるよ」
舞はジークの言葉の意味が理解出来ずにただ、苛立ちだけを募らせていた。
そんな舞を嘲笑う様にジークは立ち尽くす。
そんなジークを見て、舞の苛立ちは更に高まる。
攻撃が効かない事が理解出来ない事は理解していたが、舞は紅桜での攻撃に移る。
しかし、直ぐに舞の手は止まる。ジークの隣に一人の黒髪男性が居た。
「久しぶりだね……と、言っても分からないかもしれないけど」
舞は確信は無かったが、頭に甦ったその言葉を告げる。
「お父さん?」
舞は警戒しながら告げる。
「信じてくれるかな?」
「……うん」
「それじゃ、僕がこれから言う言葉をしっかりと行動に移してくれ」
「……待って。何でここにお父さんが?」
「……この空間は魔帝神剣と紅桜によって造られた空間だからね。その関係者は居る事が許されるんだよ」
「……それって」
「うん。僕は魔帝神剣の中にいる思念体だ。と、言っても、もう長くは姿を保てないけどね」
「……魔帝神剣は元々お父さんの神能力。それをこいつが奪って」
舞は父親の隣に立つジークを睨み付ける。
「……それはジークとの約束でね」
「約束?……お母さんも?」
舞のその言葉に舞の父親は隣に立つジークを見つめる。
「ジーク。話が違うぞ」
「……こちらも色々ありましてね」




