第32話 氷を辿って
溶けない氷か……
誰がこんな氷を?
「廉、見て氷は向こうに続いてるみたいだ」
「本当だ」
紫音の言う通りだ。
この氷は出した人間は誰かを追いながら出したのか?
確かな事はこの氷を追っていけば、分かるかも知れない。
しかし、嫌な予感がする。
今日の会議室での会話を俺は思い返す。
檜山仁が作ったチーム[クリムゾン]のメンバーの異能力は氷の金剛石と聞いた。
この溶けない氷が氷の金剛石だとしたらそいつは俺を狙うかもしれない。
「追いかけてみよ」
舞は楽しそうに俺に告げる。
緊張感が全く無いな。
紫音はずっと何かを考えてるみたいだ。
確か、紫音の異能も氷系だったな、確か氷神の花畑だったけ?
神が付いてるな。
神を含む異能、能力は珍しいらしいからなぁ
俺の炎神の魔武器も含まれてるか。
紫音はまだ考えてるみたいだ。
同じ氷系の能力同士で考える事があるのか?
「紫音、何か考え事か?」
「うん」
俺はとりあえず、聞いてみた。
紫音の反応が悪いな
「どうしたんだ?」
「廉は……上原氷雪を知ってる?」
上原?石原なら知ってるが……上原は知らないな。
誰なんだ?
「廉、知らないの?上原氷雪は[雷帝軍]の副リーダーだよ」
「えっまじで」
「マジ」
隣に居る舞は囁く様に俺に教えてくれた。
[雷帝軍]って強絶さんが居る……思い出しても怖いな強絶さんは
「行ってみよ」
紫音は俺と舞に提案する。
「うん、行こう行こう」
舞はノリノリだ。
しかし、コンビニ強盗はどうする?
「けどコンビニ強……」
二人とも行くの早いよ。
このまま一人でコンビニ強盗を探すのも……
それに舞を守らないと
それにしても紫音は何だか急いでるみたいだ。
紫音は犯人の検討でもついてるのか?
俺はやっと追いつく。
「紫音、何でさっき[雷帝軍]の副リーダーの話をしたんだ?」
「……氷系の能力は数が少ないんだ。その中でも名門とされてるのが上原家と石原家何だ」
上原と石原。
……待てよ。
石原って
「紫音、舞引き返そう」
俺は二人を止める。
もしかしたら、[クリムゾン]のメンバーの可能性がある。
かなりの可能性だ。
「急にどうしたの?」
舞はビックリしながら俺に告げる。
紫音は今までに見せた事もない位怖い顔をしている。
紫音は少しずついつも通りの表情に戻っていく。
「どうして、理由も聞かずに引けないよ」
「そうだよ」
紫音の言うことも分かる。
理由を言わずして、この場から引かせるなんて……
舞も引くつもりは無さそうだ。
どうやって説得するか?