第303話 東京本部防衛局の作戦
チーム[ヴァルハラ]、[フレイム]が作戦を練っていた頃ここ東京本部防衛局でも作戦会議が行われていた。
「川上玲奈さんの報告でチーム [アブノーマル]のメンバーの一人、野島大河の神能力、獣神変化がチーム[ヴァルハラ]の目的だと分かりました。チーム[ヴァルハラ]のリーダー、ベルセルク・フルベルクは能力喰いの能力者です。能力喰いは魔法、能力、異能を持つ人間を捕食する事で捕食した者が持っていた力を自身の物に出来る能力です」
黒いスーツに身を包んだ青年は会議室でチーム[ヴァルハラ]の目的を会議室に居る全員に伝える。
「ベルセルク・フルベルク程の男が何故野島大河を狙う?」
東京本部防衛局局長の橘吉凶は青年に尋ねる。
ベルセルクと言えば世界中に知れ渡る程の人物で、強者のみを喰う男としても有名な男である。
そんなベルセルクは無名の大河を狙うには何かあると吉凶は考えていた。
「考えられるのは……管理する神の命令だと思われます。管理する神は近年、原初の神と呼ばれる神能力者、神異能力者を集めている様なので」
「原初の神……天地創造で神がこの世界を構築する為に造られた物達の事か」
「はい。管理する神は原初の神と神の人体シリーズの神を集めている様なので」
「そうか。では、このままその少年をチーム[ヴァルハラ]に渡す訳にはいかないな」
「それでは」
「あぁ、作戦を伝える」
青年と吉凶がチーム[ヴァルハラ]との戦いに向けての作戦について話を進めようとしたその時、一人の男が机を強く叩き、声を荒らげる。
「ふざけるな。その野島大河1人の命で終わらせられるなら差し出すべきだ。たかが、一人の命を守る為にどれだけの人間を切り捨てるつもりだ?」
男のその言葉に会議室に居る者は賛同も否定もしなかった。
「どうやら、そう思って居るのは貴方だけみたいね」
「……川上……玲奈」
「どんな立場でも、どんな環境でも人の命は平等。その命を守る為なら命位何度でも賭ける。それが出来ない人間に人の命を語る資格は無い」
「……何を世迷い言を。命は命だ。守り、守られる物では無い」
「確かに命はその人だけのものですよ。だからと言って、その人だけで守り抜くものでもない。家族や仲間と共に育み、共有するものでもある」
玲奈と男の言い争いを聞いていた吉凶はため息を溢すと決断する。
「もう良い。出ていけ」
「えっ?」
「早く、出ていけ」
吉凶の言われるがまま、男は会議室から出ていく。
「それでは、作戦を伝える」