第302話 ヴァルハラの作戦
「作戦を決める前にチーム[フレイム]の副リーダーの姿が見えない様だが……何処かに行ったのですか?」
ジークは常にリンの隣に居た副リーダーの明菜の姿が無い事を疑問を持つと共に新たに隣に立つ死んだような目に無表情の銀髪の少女の存在を気にかける。
「死んだよ」
リンは笑顔で答える。
人一人が死んだ事を笑顔で答えるリンにジークは疑問を持つ。
死んだ人間はチーム[フレイム]の副リーダー、立場としてはリーダーを支え、チームのNo.2であるべき存在の死を笑顔で答えるだろうか?
ジークはリンとゆう一人の女の存在に注意をすると共にリンの不安要素を考え、作戦を考えていく。
「チーム[フレイム]は僕達の攻撃によって打ち漏らした敵の残党をお願いします」
「……分かったわ。それじゃ、配置に着くから」
リン達チーム[フレイム]、[プロダクション]の全員は移動を始める。
「それで、私達は?」
チーム[ヴァルハラ]の指示が無かった為、ヒルデはジークに尋ねる。
ジークは直ぐに答えようとしたが、その答えを呑み込んだ。
チーム[フレイム]と銀髪の少女を遠ざける事に成功したジークだが、信用なら無い人間達が指示通りに移動とは限らない。
最悪、チーム[フレイム]と東京本部の人間を全て相手することを考えないといけない状況でジークは答えを絞り出す。
「ヒルデはここで、ベルセルクと待機」
「待機?」
ジークの指示にベルセルクは難色を示す。
ジークは上手く納得させないとベルセルクがどう行動するか分からない。その為、ジークは何とかベルセルクを納得させる為必死に考え込む。
「……野島大河を発見したら、後は好きにして良い」
ジークは百歩譲って、ベルセルクが何とか納得してくれそうな提案をする。
ベルセルクは暫く考え込み、答えを出す。
「良いだろう。ただし、急げよ」
「分かった。ヘラクレスは僕と一緒に来て貰うよ」
ジークは言われ、ヘラクレスは無言で頷く。
「ヒルデ。このビルの回りにも旗を立ててくれ」
「分かったわ。でも、ここを襲撃されてもベルセルクなら簡単に退けられると思うけど」
「……あぁ、そうだけど、念には念を」
「……分かったわ」
ヒルデはジークの意図が読めなかったが、諦めた様に承諾する。
「それじゃ、行こうか」
「あぁ、先ずは何処に?」
「……防衛局に乗り込むよ」
「ほう。いよいよ仕掛けるのか」
「あぁ、ここに時間をかける訳にはいかないからね」
東京本部防衛局は東京本部が襲われた場合その対処を決め、東京本部の全体の指揮権を持つ。ここが潰されたら、東京本部の防衛機関を著しく低下させる事が出来る。しかし、防衛局のセキュリティは東京本部内でもトップクラスである。