第301話 二つのレヴァンティン
「ディジー撤退」
「……分かった」
リンの指示を受けて、リン以外のチーム[プロダクション]は転移魔法によって移動する。
「それじゃね。廉お兄ちゃん」
「待って」
「……また会えるよ。この世にレヴァンティンは1つだけ。いずれ私達はお互いのレヴァンティンをかけて殺し合う運命なんだから。だから、あそこに居る野島大河とは一緒に行動しない事を進めるよ」
「どうゆう意味だ」
「……チーム[ヴァルハラ]が野島大河の神能力を欲してるから。私はここに野島大河が居た事を報告するから」
リンはそう告げると炎に包まれていた十枚の翼をはためかせて、空へ浮上していく。
そんなリンを目で追いかける。廉はそれだけしかしなかった。
逃がさない様に攻撃もしない。この場から離脱するリンに声もかけない。
廉は別空間でのリンとの会話を思い出しながら、去っていくリンを見つめていた。
「逃げる敵を逃す理由はあるのか?」
亮太はリンを見逃した廉に迫る。
「理由ならある」
亮太は廉のただならぬ表情にこれ以上の追及をせずに、話を切り替える。
「あの女、大河の名を口にしたようだが?」
「あぁ」
廉は思い出した様にリンに言った事を亮太に伝える。
「チーム[ヴァルハラ]が狙ってるって」
「チーム[ヴァルハラ]が?……何故狙う?」
「確か、神能力を狙ってるって言ってたが」
「獣神変化を……頼みがある」
「何だよ」
「チームを二手に分けて大河を守らせてくれ」
「……あぁ。メンバーが狙われているなら、守らないとな」
廉達がチーム[ヴァルハラ]の襲撃対応するため作戦を練っている居る最中、二つの組織が動き出す。
「今まで何処に?」
「すみません。色々とでも、野島大河は見つけましたよ」
ジークの問いにリンは笑顔で答える。
そのリンの答えにビルの屋上に居たチーム[ヴァルハラ]のメンバー達は驚く。
しかし、副リーダーのジークはそんなメンバー達とは異なり、リーダーのベルセルクがどう動くのか気が気では無かった。
そんなジークはベルセルクの表情を見て、ため息を溢す。
ベルセルクは今まで我慢していた分待ちに待った野島大河の居場所が分かったとしったベルセルクは狂気染みた笑みを浮かべ、今にも動きそうだった。
「ベルセルク。作戦を決めてから動いてくれ」
ジークはここから飛び出しそうなベルセルクに警告の意味を込めて告げる。
ジークにそう言われ、ベルセルクは落ち着きを取り戻した様に表情が狂気染みたものから通常の表情へと変わっていく。