第300話 共鳴現象
波紋が広がると二人の精神は別空間に飛ばされていた。
その空間は白いオーラと黒いオーラが入り交じった空間。
「初めて会えたのにいきなり、攻撃を仕掛けて来るなんて……せっかちなんだね。廉お兄ちゃん」
「……お、お兄ちゃん?」
「そうだよ。」
「ふざけるな。俺に妹は居ない。記憶が消されたが、玲奈さんから全部聞いてる」
「確かに、私は可憐お母さんのお腹の中から産まれた訳では無い。ディジーの異能によって産み出された」
「異能で人間を造った?」
「信じられない?」
「……信じたくはないが、信じる。でないと、お前の存在も信用なら無い」
「ありがとう」
「それで、どうすればここから出られる」
「簡単だよ。けど、その前に少し話をしよ」
「話?」
「そう。レヴァンティンについて」
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別空間から戻って来た二人は交えた剣を弾く。
廉は炎神の魔剣を消す。
「良いの。廉お兄ちゃん」
「何度やってあの空間に行くだけだろ?」
「信じてくれるんだ?」
「……」
ファミリーレストラン[ダスト]の騒ぎに回りに居た人間達がスマホで連絡を取っている。
それ以外にもファミリーレストラン[ダスト]に残っていたチーム[アブノーマル]のメンバー達が外に出てくる。
「廉、紫音大丈夫?」
外に慌てて出てきた舞は心配しながら駆け寄る。
そんな舞は勿論、彩美、優菜、亮太、野島大河は廉と向かい合っている少女を見て言葉を失う。
「ねぇ、舞」
「何?」
「廉って兄妹居たっけ?」
舞は優菜に聞かれ、戸惑いながら答える。
「嫌、居なかったと思うけど……」
舞の回答を聞いて亮太は首を傾げる。
「だったら、あの女はなんだ?」
「……親戚かな?」
亮太に言われ舞は可能性がありそうな言葉を呟く。
しかし、舞は自身のその言葉は違う事を何となく理解していた。
それは、母親である玲奈の口から廉と一緒に廉の過去を聞いて居たからだ。
チーム[カオス]によって木山家、檜山家が潰されており、生き残ったのは廉、仁、可憐、ゲンマの四人だけだと聞いて居た為、舞は目の前にいる少女の存在を木山家、檜山家とは関係無い存在だと考えていた。
「それでこの後どうする?」
炎神の魔剣を消した廉はまだ剣を持っている少女にまだ戦う意志があるのか確認を取る。
少女は暫く考えると手にしていた剣を消す。
「止める。今の勝利の聖神剣では廉お兄ちゃんの炎神の魔武器の異能は奪えないようだし、ここは退くよ」
「随分と大人しいな」
「今回はね。私の名前はリン。覚えておいて……廉お兄ちゃん」
リンは背に生やしていた炎に包まれていた十枚の翼をはためかせて、氷の蕀を熱風によって溶かす。