第30話 狙われる存在
「先生、お願いします」
俺は職員室に居た担任の羽田海斗先生にチーム結成の用紙を手渡す。
先生は紙を受け取るとパソコンに文字を打ち込んでいく。
データを打ち込んでるみたいだ。
「木山君、登録終わったよ」
「ありがとうございます」
ここでチームとして活動できる。
チームで依頼を達成すればチームメンバー全員が単位を取る事が出来る。
例えば、その場に居なくてもチームに登録しておけばチームメンバーが依頼達成した場合に居なくても単位を取る事が出来る。
その為入院した場合等に役立つがその反面、楽をしたい為に脅してチームを作り、自分達は何もしないなんて事もあるらしい。
先ずは、舞と紫音が待ってる教室に行くか。
「終わったぞ」
教室の扉を開け、すぐさま俺は言った。
「廉、今からこの依頼を受けよう」
舞はいきなりスマホを俺に見せつける。
そうか。依頼はスマホからでも出来るんだったな。
俺は舞のスマホの依頼を確認する。
依頼内容は剣士を捕らえるものだった。
「これなら私も戦えるでしょう」
……はっ
待てよ
「舞、戦うつもりか?」
「うん」
「うんって……お前な」
「どうしたの?……怖いよ」
……そもそも俺がチームを作ったのはお前を守る為だぞ。
「二人ともどうしたの?」
紫音は心配そうに近づいてくる。
「大丈夫だよ、紫音」
舞は笑顔でそう答える。
舞、お前は大丈夫なのか?
「チームを結成したばかりだし今日は解散で良いじゃないかな?」
紫音は俺と舞に告げた。
紫音は俺達に気を利かせたんだろ……気を使わせてしまった。
「嫌、単位は必要だろ?」
そう、単位は必要だ。
俺は紫音に言い聞かせる様に説得する。
「それ……そうだけど」
「とりあえず、やってみようぜ」
「うん」
紫音は説得出来た。
問題は……舞だ。
「舞、さっきの依頼をやろ」
「うん」
さっきまでふてくされていたがようやく笑顔になった。
でも、舞は戦わせない。
もう、舞に妖魔剣創造を使わせない。
暴走した舞は俺を気絶させ、玲奈さんを入院させた。
舞は今も自分を責めている。
だが、何故か舞は戦いを望んでいるみたいだ。
一体、舞は何を考えてるんだ?
舞はもう妖魔剣創造を使い、人を傷つける様な事はしたくないはずだ。
そんな、妖魔剣創造に苦しんだお前を近くで見てきたからこそ俺はお前を守りたいんだ。
この学校に来て、舞の考えが変わったのか?
この学校の人間を検索をかければ舞の異能力を知る事が出来る。
舞は間違いなく、この学校で一番狙われる存在だ。