第297話 廉に迫り来る者
「簡単なやつか?」
優菜に言われ廉は手元にあるタブレットを見つめる。
タブレットには様々な依頼の内容があり、廉は頭を悩ませていた。
「手伝う?」
中々、決められない廉を見て、隣に居た舞は心配そうに尋ねる。
廉は一人では決めかねて居た為、廉にとっては助かる言葉であった。
「駄目だよ。こいつはリーダーなんだから」
舞の隣に居た一言で言えばギャルの少女、加藤彩美は舞の提案を否定して、廉一人に考えさせる様に仕向ける。
何故そんな事をするのか廉には分からない。そんな廉は彩美の顔を覗く。
彩美は廉と顔を合わせると嘲笑うかの様に微笑む。
そんな彩美を見て、廉は何も言い返せなくなっていた。
もし、言った何をされるのか分からないからだ。
「トイレに行ってくる」
廉は逃げる様にその場から離れ、トイレに向かう。
その場に居たく無かったのは事実だが、トイレに行きたかったのも事実。
トイレに着いた廉は誰も使用して居なかった為、手前の便宜で用を足す。
用を済ませた廉は手洗いも忘れずにやってから皆が待つ席に向かう途中で一人の少女と肩がぶつかった。
「すみません」
廉は戸惑いながらも倒れたしまった相手を気遣いながら、手を差し出す。
とっさに手を差し出していたが、廉はこの少女が近づいてくる事に気づかなかった。廉は任務について考え居た為、気づけなかったのかと納得して、少女の行動を待っていた。
少女は戸惑い、困惑しながらも廉が差し出した手を握り、体を起こして貰う。
(……外人)
起こした少女の顔を見てその顔立ちから外人だと言う事実を理解して廉はあたふたと困惑する。
銀髪で長いまつ毛凛々しい顔立ちの少女は無言で廉を見つめる。
「それじゃ、俺はこれで」
廉は日本語が通じるか分からないが、取り敢えず日本語でそう言い残し、元居た場所に戻る。
皆が座る席に戻って来た廉は座って居た場所に座る為、動こうとしたその時、みんなの様子が可笑しい事に気がつく。
「どうした?」
廉はみんなの様子から何があったのか見に覚えが無い為、確認を取る為その場に居た全員に確認を取る。
誰も答えなかったが、薄い水色の髪をした佐倉紫音は廉の後方を見つめていた為、廉の目線は自然と背後に向かう。
そこにはさっきぶつかった少女の姿があった。
廉は頭が真っ白になった。
何故この少女が背後に居たのか理解出来なかったからだ。
「えっと、どうかした?」
「……貴方……木山廉?」
「……そうだけど」
「話したい事がある」
「……話?」