第296話 リンの正体
リンは勝利の聖神剣の炎を明菜にぶつける。
突然の事に明菜は背後に居るリンを見つめる。
しかし、明菜はダメージも無く、熱も感じない。
「驚いた?この炎は私本来の炎でも、仁お兄ちゃんから奪った炎でも無い。私のお母さんの異能、忘却の業火の炎。この炎に触れたものの記憶を消す事が出来る」
「……」
「気づいた?貴女の記憶は一部無いのよ。そう、そして今日全ての記憶を失う」
「……」
「……息子に言い残す事は?」
「何故?私の記憶を?それに何故私を造り出したの?」
「天使の属性の力が欲しかったし、それに天使会合の秘密を探りたかったんだけど……駄目だったみたい」
「……では、何故私に息子に合わせる等と嘘を?」
「……希望の中でどう行動するのか見てみたかったからね。廉お兄ちゃんはそうゆう人間らしいから」
「貴女は可哀想な人ね」
「……どうゆう事?」
「貴女は知らない。人の温もりを、愛を」
「……知ってるよ。私の記憶にはいつも廉お兄ちゃんが居る」
「……貴女は何?」
「私はリン。チーム[フレイム]のリーダーにして、チーム[プロダクション]の副リーダー」
「チーム[プロダクション]の副リーダー?」
「知らなかったでしょう?知ってるのは管理する神の中でもごく一部の人間だけ……それで言い残す事は?」
「……」
「それじゃ」
リンは手にしていた勝利の聖神剣の炎が色を変えていく。オレンジ色から紅色の炎となり、その炎は明菜を包んだ。
紅色の炎は紅蓮の炎の炎で圧倒的な火力、熱量、破壊力を持つ炎だ。そんな炎に包まれた明菜の肉体は焼かれていく。
リンは暫くして、勝利の聖神剣を解除する。
そんなリンは明菜が居た場所を見つめる。
「流石は仁お兄ちゃんの炎。人間も一瞬で消せた」
リンは人間の姿を失い黒く焦げた明菜を見つめる。
明菜の死を確認するとリンは東京本部に居る廉を探すべく動き出す。
そんな廉は現在ファミリーレストラン[ダスト]に居た。
ファミリーレストラン[ダスト]で注文を終えたチーム[アブノーマル]はこれから受ける任務を選んでいた。
「それで何の任務を受けるんだ?」
最初に口を開いたのは、一人だけ東京本部高等部の制服を着ていない人物だった。その男は黒い学ランと白いYシャツのボタンを一つも止めておらず、Tシャツが見える服装をした田中亮太だった。
「連携の問題もあるし、最初は簡単な任務何てどうかしら?」
次に口を開いたのは藍色の髪の少女の坂田優菜だった。
元々チーム[ドラゴノイド]の副リーダーをしていた人物であり、現在はチーム[アブノーマル]のメンバーになった人物だ。