第290話 リンの目的
校舎の破損箇所に居たリンと特徴の無い二人の少女は煙が漂う中、立ち尽くしていた。
「いきなり、何を?」
「攻撃だけど」
「それは見れば、分かります」
「問題ある?」
「問題しかありません」
「何が問題なの?」
「では、この攻撃の意味は?」
「これで来ると思うの」
「来る?」
特徴の無い少女のその答えに今までの笑顔と違って、狂気染みた笑顔で答える。
「うん。仁お兄ちゃん」
今まで見たことの無いその表情に特徴の無い少女は戸惑う。
そんな特徴の無い少女は近づいてくる人影を確認すると冷静に対処するため、隣に居るリンに確認を取る。
「誰か、近づいてきますが?」
特徴の無い少女に言われ、リンは喜びを露にして近づいてくる人物を見つめる。
「チーム[フレイム]のリーダーと副リーダーだな」
赤い鎧を全身に身に纏った男ーデューク・クラークは二人の少女を確認を取る様に告げる。
「……仁お兄ちゃんじゃ無いか。お兄ちゃん以外と会うつもりは無い」
リンは狂気染みた顔で右手に炎に包まれた剣を握る。
その炎は目映い光を放つ剣だ。
「リン様。落ち着いて」
「この学校の生徒?仁お兄ちゃん。知ってる?」
特徴の無い少女の静止を聞くこと無く、リンはデュークに問い詰める。
「ここの生徒では無いが、仁から知ってるが」
「……どこ?」
「知らないな」
「……役立たず」
リンは手にしていた炎と光を放出させる剣をデュークに目掛けて振るう。
リンとデュークの距離はあるものの、リンが持つ剣は炎が伸び、その炎はデュークの首元まで届く。
リンのその一撃によってデュークの兜が宙を舞う。
その直後デュークは地面に倒れ込む。
「リン様」
「分かってるよ。早く、仁お兄ちゃんを探しに行こう」
二人が歩き始めるその背後で地面に倒れているデュークは魔法陣による転移魔法によって移動する。
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校舎内に居る生徒は避難する者で溢れていた。
そんな中、逃げる事もせずに屋上に居る者が居た。
檜山仁、石原碧人、斉木正宗、五十嵐京介、メイド服を来た女は屋上でデュークの首が跳ねられた瞬間を見つめていた。
「それで、どうしますか?」
正宗のその質問に仁はただ、屋上から見えたリンを見つめていた。
正宗は答えが返ってこない事に疑問を持ち、仁の目線の先を見つめる。
「あの少女がどうかしましたか?」
正宗のその発言に、仁は我にもどる。しかし、仁は未だにリンを見つめたままだ。
リンも気になっていたが、仁が一番気にしていたのはリンが手にしていた剣だった。