第26話 会議室で
紫音と合流して俺達は学校を目指す。
ようやく、着いた。
校門の前で一人の男がキョロキョロと周りを警戒……と言うより誰を探しているようだ。
……?
俺と目が合った気がする。
男は何の迷いもなくこちらに向かってやってくる。
「木山君……少し良いかな」
スーツを着た男ー教師か?
男の口調は早く、急いでいる様だった。
「何ですか?」
「……」
教師と思われる男は周りを見渡し、俺の耳元で告げる。
「昨日の件で……と言えば分かるかな?」
昨日の件……檜山仁と戦った事で間違いないだろう。
何かあったのか?
「分かりました」
「じゃあ、今から会議室に行こう」
「すみません、ちょっと良いですか」
「……」
俺は舞と紫音に目を向ける。
「良いよ」
「すぐ終わるので」
教師と思われる男は理解してくれた。
そうこのまま黙って行ったのでは心配をかけてしまう。
「ちょっと用事が出来たから先に行ってくれ」
「何か、合ったの?」
「大した用じゃあ無いよ」
紫音は心配そうに聞いてくれた。
紫音は顔も性格も良いなぁ。
……舞は少しうつ向いている。
また舞に心配させてしまった。
「すみません、行きましょう」
俺は隣で待ってくれていた教師に告げる。
「じゃあ、行こう」
俺は教師と一足先に学校内に向かう。
紫音と舞は何かを話しているみたいだ。
何の要件だろとか話しているのか?
……昨日の件って一体何が合ったんだろう。
檜山仁は山梨県に向かい。昨日の事件は解決したはず……
まさか昨日壊した廃工場を弁償しろとか……
弁償できるなんか出来ないぞ。
そもそも廃工場を壊したのって檜山仁だろ。
「じゃあ、入って」
会議室前で教師は扉を開け、俺を誘導する。
会議室にはもう一人居た。
制服を着ている……ここの生徒だろ
「失礼します」
俺は恐る恐る部屋に入る。
「じゃあ、座って」
「はい」
俺は教師の指示通り椅子に座る。
俺の目の前には生徒と思われる男が居た。
金髪で目付きが悪く、力強さを感じる……そんな印象だ。
その隣に座っている教師が弱々しく見えてきた。
「自己紹介をしないとね。僕は今日から君のクラスの担任の羽田海斗」
……この人が担任……で隣は誰なんだ?
「えっと」
担任の羽田さん……先生は隣の生徒にも自己紹介を促す。
隣に居た生徒はそれに従い、自己紹介を始める。
「入学早々大変だったみたいだな」
自己紹介ではなく心配をしてくれた。
「えぇ、まぁ」
……これ以外に答えがあるのか?
あれ位大丈夫ですよ何て言えないし、えぇ、めちゃくちゃ大変でしたなんて言えるわけ無いだろ。
それにこの人の目付きが……
怖い。
「俺はこの学校の三年チーム[雷帝軍]のリーダーをしている橘強絶だ」
橘……強絶……どっかで見た様な……あっそう言えば入学の前に読んだパンフレットに書かれていた。この学校最強の男。
……強絶って
「俺の名に気になる事もあるだろうが今は置いておいて貰おうか」
えっ……心が読まれた?
……そんな訳無いか。