第259話 別空間
山瀬は自身の能力を覚醒させるべく、ナギア達に協力を頼みこんだ。
そして、山瀬は覚醒の力を手に入れた。
「どうして?」
愛花が放った魔法固定砲台は歪み、山瀬に届く前に完全に消えた。
「俺の異空間移動は全てを異空間、別空間に移動させる事が出来るんだよ」
山瀬の言葉を聞いて、長谷川は動き出す。
電光石火は使えば、簡単に山瀬の背後に回れる程の速さで移動が出来る。
その為、長谷川は動く。
しかし、長谷川は電光石火を使い、走ったにも関わらず、そのスピードは通常に歩いているのと変わらない速度だ。
「僕の能力が」
「能力を無効にしている訳じゃねぇよ」
「この空間では速度が一定になるんだよ」
「僕の能力に対抗する為に……」
「一度お前たちと戦ったからな。対策はさせて貰うぞ」
長谷川は愛花の隣に立つ。
「どうする?僕の能力は無効されていると言っても良い。それに君の魔法も歪まされて、無効されてしまう」
「分かってる。取り敢えず、あいつの造った空間から脱出する」
「うん。それしか無いよね」
愛花は自身の左右に魔法陣を造り出す。
そして、圧縮された魔法を解き放つ。
しかし、放たれた魔法固定砲台は歪み、消えていく。
「もしかしたら、速度が速すぎるかも」
「どうゆうこと?」
「僕の能力電光石火はこの空間内では使えないって事は速すぎるとこの空間によって無力化されるのかも」
長谷川の意見を取り入れ、愛花は再び出現させた魔法陣から圧縮させた魔法を解き放つ。
そのスピードは緩やかで、歪む事は無かった。
愛花が放ったその攻撃は山瀬が造り出した別空間を破壊した。
「空間を破壊したか?かなりの威力がないと出来ない筈だが、魔法固定砲台はそれだけの威力があったって事か?」
呟く、山瀬の背後に長谷川は現れる。
そして、長谷川は山瀬の腕を後ろに回して、拘束する。
「油断したね。あの空間がなければ、ここに居る誰よりも僕は早く動ける」
「だから?また造れば良い」
「それよりも早く僕は動く」
(別空間造っても魔法固定砲台があるとキツいな)
山瀬は愛花の姿を確認すると、背後に居る長谷川の存在を感じながら、微笑む。
「まぁいいさ。お前は俺と来いよ」
山瀬は長谷川と共に姿を消す。
姿を消した二人を探す様に愛花は辺りを確認する。
どこにも居ない事を確認すると、愛花は美咲達の合流する為動く。
相手は自身が所有する空間内を出入り出来る人物だ。そんな人物が居なくなったとしたら、自身の空間内に居る可能性が高い。愛花が待っていても長谷川が出てくる可能性は低い為、愛花は今出来る事をする為に美咲達の合流目指す。