第256話 リベンジ
中鏡愛花、長谷川翼は隠れ家に置く為のソファを見ていた。
「ここまでついて来るなんて……もしかしてストーカー?」
愛花の冗談とは思えないその言葉に長谷川はぎこちない笑顔をしながら反論する。
「僕はストーカーでは無いよ。困っていた様だから手を貸しただけだよ。今は渡辺京って人に興味があってね」
「興味?そもそもあの人何なの?」
「僕も良くは分からないよ。けど、強い人だと思うよ」
「そう。ストーカーじゃ無いなら、何処かいってくれない?」
「そうしたいけど、ナギサって子に頼まれたんだよ」
「子供の言う事が何なの?」
「聞いた話だと神の頭脳の神能力者らしい」
「神の頭脳?……それって世界一の頭脳を持っているって言われている能力でしょ?」
「そうだね」
「あんな子供が?」
「年齢は関係無いんじゃ無いかな。だって……」
会話を続ける長谷川の声をサイレンがかき消す。
「こんな早く再開出来るとは嬉しいな」
二人の目の前に一人の男が立ち塞がる。
この男は昨日、愛花と長谷川が戦った空間移動の能力者だ。
自身が持つ空間内の出入り、別空間を繋げ瞬間移動も可能な能力だ。
空間内は不安定で攻撃を受けるとその空間は壊される為、敵などは自身の空間に入れない様に戦う男。昨日の戦いでは空間内に入れていた遺体を盾にしながら戦ったが、愛花の固定魔法砲台によって敗北した。
「何の用?」
そんな男に愛花は強気で話す。
それは昨日勝った事もそうだが、昨日とは違い体調も魔力も万全の状態だからだ。
「リベンジさせて貰うぞ。昨日は手加減してくれたみたいだからなぁ。お陰で助かったよ」
男のその言葉を聞き、長谷川は愛花を見つめる。
「何?」
「嫌、君の魔法固定砲台は間近で見たからね。最初よりも勢いも威力も無くなった様に感じたけど……どうやら、勘違いでは無かった様だ」
「だから?」
「文句がある訳じゃないよ。今回も勝てば良いんだから」
「今回は私一人でやるから」
「……一応、他のメンバーに連絡をした方が」
「だったら、探して言ってきて」
「確かに、電話やメールよりも僕が直接行った方が早いけど……一人にする訳には」
長谷川の能力電光石火をしようすれば、一時的に高速で動く事が出来る。
しかし、長谷川は直ぐに動こうとはしない。
愛花の実力は目の前に居る男も理解している筈、それなのにまた目の前に現れた。そんな男からは余裕すら感じる。