第251話 舞の思い
「舞が何を言ったかは分からないが、俺は戦わないぞ」
「そう。私は戦うけど」
彩美は手に巻き付いていた包帯を取る。
彩美は両手に雷を纏わせる。
廉は手に持つ炎神の魔盾に不安を感じ、消す。
「何のつもり?」
「……相手によって武器の変換、大きさを変えるのが俺の炎神の魔武器の特徴だ」
「それで?」
「炎神の魔大盾」
今までの盾とは違い、その大きさは地面から天井に届く程の大きさだ。
「デカイだけで私の攻撃から逃げられると思っているの?」
「逃げねぇ。受け止める。舞にも出来たんだ。俺にも出来るだろ?」
「お前と舞とでは違う」
「違うな。けど、だからって諦める理由になってねぇよ」
「もう良い」
廉が出した炎神の魔大盾の上下にわずかな隙間しか無かったが、激しい光を感じていた。
彩美は右手を目の前にある大きな盾に向ける。
彩美は手に纏っていた雷属性の魔法を放つ。
その一撃は炎神の魔大盾切り裂く。
その隙間から廉は彩美の姿を確認する。
「どうして転移魔法を使わない?」
「使う必要が無いから」
「転移魔法を使って俺の背後に移動してから打てば俺に勝てるだろうが」
「舞ならそんな事はしない」
「……しないな。ついでに殺そうともしない」
「そうね。私と舞は違うから」
廉は目の前にある炎神の魔大盾を消す。
廉は炎神の魔装、炎神の魔拳を装備する。
「武器も持たずに、どう戦うつもり?」
「戦わねぇよ。お前の雷を防ぐだけだ」
「防げるなら防いで見せろ」
彩美は手に覆われていた雷を廉に向ける。
普通の人間なら彩美の様に手に覆わせる事は出来ない。
加藤家の人間である彩美は雷に対する耐性があるために出来る。
彩美は手に覆われていた雷を廉に向けて放つ。
廉は直ぐ様、両手を顔の前に移動させる。
廉は、炎神の魔装、炎神の魔拳を装備している。現在の廉は顔さえ防御出来れば、体の全てを守れる状況だ。その為、廉は顔を守る為、手を顔の前まで移動していた。炎神の魔拳は黒色の手袋で全体が炎で覆われており、破られる事は無い。
彩美の一撃は炎神の魔拳によって防がれた。
(顔面に狙って来たな。本気で殺すつもりなのか?)