第25話川上舞
俺は昨日の出来事を何度も考えてみたが……今の俺には何も出来ない。
取り敢えず、今出来る事をしよう。
まずは制服に着替えよう。
制服に着替えた俺は階段を降り、リビングに向かう。
ここ川上家に居候している俺は今までこの家に金銭面で迷惑をかけてきた。
能力者育成機関東京本部の依頼を成功させれば金が手に入る。
「おはよう」
リビングに先に居た舞が俺に向かって言った。
昨日の事は玲奈さんに黙って貰った。
舞はいつも通り俺に接してくれてる……けど時折感じるこの違和感は何だろう。もしかしたら勘づいているのかもしれない。
俺は舞の目の前に座る。
舞は笑顔だが、俺の顔を一切見ない。
何だが、変な感じだ。
玲奈さんはそんな俺達に触れる事もなく、フライパンを振るう。
「しっかり、食べなさい」
玲奈さんは出来上がった朝食の食パンと目玉焼き、ウインナーをテーブルに置く。
「いただきます」
舞はいつもの様に食べ始める。
「いただきます」
俺も舞に続いて食べ始める。
舞は無言のまま食べている。
俺も無言のまま食べる。
何だか舞が怒っている様にも見える。
だが、舞を戦いや争いに巻き込む訳にはいかない。
舞の異能ー妖魔剣創造は妖刀、魔剣、妖魔剣を創造出来る異能だ。それだけでなくこの世に無い剣を造り出せる異能まさにゴーストだ。けど剣だけでなく物まで造れてしまう異能だ。
舞は昔妖魔剣創造で紅桜を造り暴走した……それから舞は妖魔剣創造を使わなくなった。
紅桜はこの世に存在しない剣だ。それを造りだし操るのは難しいらしい。
舞は紅桜以外にも剣を創造出来るがここ数年創造した所を俺は見ていない。
妖魔剣創造は物も造る事が出来、玲奈さんの話だと賢者の石も創造出来るらしく、これがバレたら確実に狙われると玲奈さんは言っていた。現在賢者の石の数は減少しており、高値で取引されていると耳にした事がある。
とりあえずはチームを作り舞を守れる様に動かないと……
「廉、食べないの?」
「……食べるよ」
考え事をしていたら手が止まっていた。
玲奈さんは洗い物をしている。
さっさと食べよう。
「行ってきます」
「行ってきます」
俺と舞は家を後にして、能力者育成機関東京本部に向かう。
やっと能力者育成機関東京本部に着いた。
ここから学校を目指す訳だが時間がかかる。
能力者育成機関東京本部は東京都の半分の大きさで中学校、高校、病院、コンビニと様々な機関が集まった機関だ。
東京の半分の大きさだが、見分けるのが難しく、何処から何処までが機関なのか説明すると……簡単に言えば……俺の聞いた話だと機関の周りは警備員が周りを見張って居る位だろうか。間隔は狭く一日で見ない日は無い位だ。
中学校もあるが中学校は依頼を受ける事が出来ず、手合わせのみとなっている。中学生達は高校までの練習期間みたいなものと言えば良いか。
「おはよう、廉、舞」
俺と舞が学校を目指している途中紫音とあった。
紫音の背後には学生寮があり、そこから出てきたんだろう。




