第249話 次なる闘い
地面に倒れる廉に舞と紫音は駆け寄る。
「廉。勝てたね」
舞は笑顔で告げる。
「あぁ、舞ありがとうな」
「うん」
会話をする二人に優菜は近づく。
「大丈夫そうね。廉」
「あいつは?」
「亮太君なら大丈夫よ」
優菜のその言葉を聞いて廉は亮太の居る場所に目を向ける。
亮太は大河に肩を借りて、立ち上がって居た。
「そうか」
「ルール覚えてる?」
「あぁ、でも無理強いはしないぞ」
「無理なんてしてないわ。亮太君嫌、リーダーが貴方達のチームに入る事を決めたわ」
「良いのか?」
「えぇ取り敢えず、今日は解散しましょう。明日は休みになるらしいから詳しい話は明日にしましょう」
「あぁ、じゃ今日は帰りますか」
廉のその言葉を聞いて優菜は亮太と大河の居る場所に向かう。
「廉。僕の肩で良ければ貸すよ」
「あぁ、悪い。貸してくれ」
廉は紫音に肩を借りて立ち上がる。
「僕達も帰ろう」
「あぁ」
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廉は重く、痛みが消えない体で走り回っていた。
(何でいきなり攻撃して来たんだ?)
何故、攻撃を受けていたのか廉自身も理解してなかった。
廉は今まであった事を思い返していた。
亮太とのチームをかけた戦いに勝利して、帰宅していた途中の事だ。
廉は彩美に呼び止められ、取り壊し予定のビルの中突然、彩美からの攻撃を受けた為、廉は反撃をする事なく、逃げ続けていた。
(全ての攻撃に手加減がされている感じが無い。本気で殺しに来ている)
廉は彩美が本気で殺しに来ている事を認識して、対応出来る様に動く。
廉は炎神の魔武器を発動させ、炎神の魔盾を手に装備する。
防御において、廉が出来る最高の武器だ。
しかし、廉は攻撃手段となる武器を持つことはなかった。
廉は彩美を攻撃する事はなかったからだ。
雷切姫と言う異名を持つ彩美は加藤家の唯一の生き残りだ。
北海道支部で魔装を管理している家系だったが、彩美を覗いて全ての人間が殺され、唯一残ったのが彩美だ。
雷切姫と呼ばれる彩美の雷属性の魔法は触れただけで全てを切り裂くと言われる程の威力を持つ。
廉はそんな雷から逃れる為、彩美と同じ階層に居る事をせずに、逃れていた。
しかし、廉は上に行く事をためらっていた。
このまま行けば、もう直ぐ屋上だ。
屋上で彩美と戦うとなると逃げるのに苦労する。
廉はここまで彩美が来て、屋上に向かう途中で下に向かう事にした。
彩美の足音はビルの中に響く。
そんな足音が廉の元に近づいてくる事を感じなが、彩美が通り過ぎるのを待っていた。