第244話 半神半竜(ドラゴニュート)
廉は炎神の魔剣を強く握り、亮太に向ける。
「本気で行かせて貰うぜ」
「……あぁ、そう。さっさと来いよ」
亮太は挑発する様に告げる。
そんな亮太に廉は勢いよく走り込む。
廉は炎神の魔剣を斜めに振るう。
そんな廉の一撃は亮太の右腕によって止められる。
「この程度か?」
亮太は竜の鱗に覆われた右腕で防ぎ、不敵な笑みを浮かべる。
炎神の魔剣は竜の鱗を纏った右腕を傷つける事が出来なかった。
(いってぇ。何て固さだ)
廉は固すぎる鱗を切り裂けず、その固さに手が痺れていた。
炎神の魔剣は激しく燃え、消えていく。
「何だ?もう剣は良いのか?」
「あぁ、切断出来なければ。次で試すだけだ」
「何をやっても無駄だ」
亮太のその言葉を聞くこと無く、廉は炎神の魔武器を発動させる。
「次は槍か」
「あぁ、炎神の魔槍だ」
廉は所々燃えている槍を手にする。
炎神の魔武器は全ての武器や装備等を造り出せる異能。廉は亮太の鱗にダメージを与えられる武器を探す為、色々な武器で試す事にした。
廉は炎神の魔槍を亮太に向けて、走り込む。
そんな廉の攻撃に対応するため、亮太は全身を竜の鱗に覆わせる。
その姿はまさにドラゴニュートそのものだ。
その姿を目の当たりにして廉は動揺して、足を止める。
しかし、走り込んでいた廉は急には止まれずに、体勢が崩れる。
不恰好だが、廉は炎神の魔槍を突き刺す。
廉のその一撃は亮太の腹に直撃したものの、吹き刺さった感触は無く、亮太の様子からダメージを与えられていない事を理解して、廉は距離を取る為、後退りをする。
その廉の動きに合わせて亮太は勢いよく、回転する。その回転は廉を吹き飛ばす。亮太の背後には尻尾が生えており、回転した時に廉に直撃していた。
「攻撃力もなければ、防御力も無い。それでどうやって俺に勝つつもりだ?」
「何が何でも勝つ」
「根拠の無いその戯れ言を言えるって事はまだまだいたぶれる様だな」
「たった一撃当てた位で調子に乗るなよ」
「余りにも簡単に攻撃が当たったもんだからなぁ。思わず調子に乗ってしまった」
「安心しろよ。直ぐにお前のその減らず口を黙らせてやるよ」
「……出来るのか?」
「あぁ、直ぐにな」