第242話 ランキング
彩美は大きな欠伸を一度すると鞄から一冊の本を取り出す。
「何その本」
「これ、ランキング本」
「ランキング?」
「そう色々な格付けされた本だよ」
彩美と舞の会話に興味を持った廉は話に入る。
「そんな本があるんだな」
廉のその言葉に彩美は何も答えなかった。
沈黙が続く中、舞はランキング本を覗き込む。
「最強の剣士ランキング」
「興味あるの?」
「勿論。私も剣士だからね」
「一位はイギリスのチーム[円卓の騎士団]のリーダーアーサー・グラフェリオン」
彩美が告げた名前に廉は反応する。
「それって、聖神の聖剣の異能力者の事か?」
「よく知ってるね。廉」
「あぁ、聞いた事があったからな」
「一位は数年前からアーサー・グラフェリオンだよね」
「……そこまでは知らなかったよ」
廉はぎこちない笑みを浮かながら紫音に答えた。
そんな廉と紫音を置いて、舞と彩美はランキング本を見続けていた。
「七位のジークフリート・アンサンブルって色んな所で聞く名前だけどどんな人なの?」
「私が知っているのは黒魔術:降霊術を使うって事位しか知らないけど」
二人の話を聞いていた紫音は続けて話す。
「確かに世界トップクラスの降霊術を使い、能力と剣術で一時間で三つの国を滅ぼしたと言われる程だよ」
彩美以上の情報を告げた事に彩美は無言のまま紫音を睨み付ける。
そんな中、舞はランキング本を見ていた。
「あ、お母さんも載ってる。八十七位だ」
「一体何位まで載ってるんだよ?」
舞のその言葉に廉はツッコミを入れる。
そんな廉を彩美は睨み付ける。
「何?」
「なんでも」
「何か……顔が怖いけど」
「なんでも」
「でも……」
「なんでも」
「嫌」
「なんでも」
「……」
「なんでも」
狂気染みた笑みで彩美は廉を威圧していく。
「そろそろ、行こうか」
紫音を空気を察して店を出ることを提案する。
「行くか」
紫音の提案で廉は立ち上がり告げる。
「あっそ。頑張ってね」
「えぇ、来ないの?」
「行く必要ある?」
「えっと……」
返答に困る廉を見て、舞は助け船を出す。
「行こう。一緒に」
笑顔で手を差し出した舞の手を彩美も笑顔で答える。
「それで、勝てるの?」
「勝つさ」
「負けたら分かってるの?」
「分かってる。負ければ、チーム[ドラゴノイド]と統合する事になる。そんな事はさせねぇ。逆に俺が勝ってあいつらは全員チーム[アブノーマル]に入れてやるよ」
「出来れば良いけど」
「出来るさ。俺だからな」
廉は自信に満ち溢れた笑顔で彩美に答えた。