第241話 ファミレス
四月六日
ファミリーレストラン[ダスト]で男二人、女二人で話合いが行われていた。
「廉、調子どう?」
「あぁ、だいぶ調子良いぜ」
心配そうに尋ねた川上舞に木山廉は即答した。
「その元気が空回りしなければ良いけど」
舞の隣に座る加藤彩美は廉を挑発する様にして話に入ってきた。
「部外者は黙ってろ」
「何だと?」
いがみ合う廉と彩美を止めようと廉の隣に居る佐倉紫音は止めに入る。
「そのへんにして話を始めない?」
「負けた奴が偉そうに」
「……ごめん」
勢いが無くなる紫音とは違い廉は勢いを増す。
「戦っても無いお前が言うな」
「何?」
いがみ合う二人を見て舞は隣に居る彩美に笑顔を向ける。
「まあまあ、落ち着いて」
「……舞がそう言うなら」
彩美を宥めた舞を見て紫音も動く。
「廉も」
「……分かったよ」
紫音に言われ、廉は落ち着きを取り戻す。
「それじゃ、僕が知る限りの事を話すよ」
「紫音は田中……亮太だっけ?あいつと知り合いだったのか?」
「嫌、昨日初めて会ったよ」
「それで何を知ってるんだ?」
「まず聞いて貰いたいのはチーム名だ」
紫音のその言葉に彩美は直ぐ様告げる。
「確か、チーム[ドラゴノイド]だったけ?」
「そう。チーム[ドラゴノイド]はチーム[ハンド]のリーダー荒川玲愛がチーム[カオス]に所属していた時、荒川玲愛によって滅ぼされたチーム名だよ」
「……じゃ、あいつらはそのチーム名を名のているって事?」
「そう。そして、その名前を付けたのが誰だろって話何だけど」
紫音の隣で話を聞いていた廉は不思議な表情で紫音を見つめる。
それは廉だけで無く、舞もだ。
「それで紫音は何でそんな事を知ってるんだ?」
廉は気になっていた事を紫音に尋ねる。
「それは……」
紫音は直ぐに答える事が出来なかった。
それは紫音がこの話を舞の母親川上玲奈から聞いていた。しかし、その後廉の過去の話を聞いていた。玲奈からは廉にはこの話をしない様にと言われた為、紫音は話せずにいた。
「どうでも良いでしょ?」
無言が続く中、彩美は話を戻そうと動く。
「……まぁ、良いけど。それで誰がチーム名を付けたかって事だろ?」
「うん。廉はどう思う?」
「そうだなぁ。優菜は関係無いと思うけど……なぁ舞」
廉に話を振られ、舞は慌てて対応する。
「うん。優菜は管理する神とは関わりなんて無いと思うけど」
「そうだよな。優菜は昔から川上道場に毎日の様に出入りしていたし、管理する神と関わっている暇は無かったよな」
廉は昔の日々を思い返しながら告げた。