第237話 萱沼美咲
病院に到着した美咲、ナギサ、ナギアの三人は慌ただしく人が出入りする人達を見つめながら、愛花の到着を待っていた。
「転移魔法を使えば直ぐなのに随分と遅いね」
「うん……」
ナギサのその言葉は美咲も考えていた事だった。
「萱沼美咲、見つけた。それにナギサお前を探していたんだぜ」
宙に愛花と長谷川を浮かせ、成田は三人の目の前に立つ。
「愛花」
「こいつを助けたいか?だったら、ナギサをこっちに渡せ」
「……出来ない」
「友達を見捨てるのか?」
「見捨てない」
美咲のその一言と共に愛花と長谷川に魔法陣を潜らせる。
それと同時に浮いていた二人は地面に落ちていく。
二人は地面にぶつかる前に、魔法陣に触れる。
「愛花、大丈夫?」
「……うん」
美咲は転移魔法によって移動させた愛花に尋ねる。
「……萱沼美咲。噂通り多才な魔法を使い。世界でも珍しい黒と白の魔法を同時に使う事が出来るものだと聞いていたんだが……本当か?」
「そんな事はどうでも良い。私の友達を傷つけてただ済むと思わないで」
「……怖いね」
美咲は頭上に白い魔法陣を展開させる
(馬鹿な……目視出来ない俺の重力操作を魔法陣で防いだ)
成田は重力操作を発動させ、美咲の真横に重力を加える。
しかし、それも美咲は白い魔法陣を右と左に出現させ、防いで見せた。
「可笑しいな見えない筈なんだが……どうやって感知している?」
「答える必要があるの?」
「嫌、無理に答えろ何て言って無いだろう」
美咲は出していた白い魔法陣を消す。
(俺が重力を解除したと同時に魔法陣を消した?)
「どうやら、完璧に対応出来ているみたいだな」
美咲は青色の魔法陣を出現させる。
その魔法陣は美咲の伸ばしきった右手に現れていた。
青色の魔法陣は激しく回転を始める。
美咲は青色の魔法陣を成田目掛け、投げつける。
(魔法陣は出したら固定されるのが普通だが、魔力を加える事で魔法陣を動かすか。白い魔法陣は防御系の魔力を加えて、青色の魔法陣は移動系の魔力を加えるか。この女、加える魔力によって色分けしているのか?だったらこっちも見分けがつく)
成田は重力操作によって宙に浮かぶ。
青色の魔法陣は成田の下を通過していく。
青色の魔法陣は宙に浮かぶ成田を目指し浮上すると成田目掛け飛んでいく。
(あの魔法陣を壊さない限り追って来るか)
成田は回転する青色の魔法陣に重力を加えようと能力を発動させる。
しかし、回転する青色の魔法の上に白色の魔法陣が現れる。
成田が発動した能力は美咲の出したら白色の魔法陣に触れると共に無効化される。