第236話 迫り来る成田
「愛花どこに居るの?」
美咲は不安げに告げた。
美咲は病院からの連絡を受けて、隠れ家から出てきた。
ナギサ、ナギアを守ることを頼まれた為、二人も一緒に。
「美咲、病院が襲われた事から病院に居る確率はかなり低いよ。愛花は転移魔法を使えるんだよね?」
「えっ……うん。使えるよ」
美咲は子供ながらも頼もしさを感じるナギサに驚きながらも答えた。
「だったら、今どこに居るか特定するのは難しいね」
「うん。……そうだね」
美咲はスマホを取り出し、愛花に連絡を取る。
「もしもし」
「美咲なの?」
愛花は恐る恐る確認を取る。
「うん。病院から連絡があって、今病院の近くに居るんだけど」
「分かった。直ぐに向かうね」
「うん。病院で待ってるね」
美咲はスマホをしまい。病院を見つめる。
「愛花が病院に来てくれるって」
「そっか。じゃ、病院で待っていれば合流出来そうだね」
「うん。良かった。行こうナギサちゃん、ナギアちゃん」
三人は病院へ向かい歩き始める。
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美咲からの連絡を受けて愛花は病院に向かう。
「それじゃ、私は行くから」
愛花はそう告げると歩いていく。
歩いて、移動する愛花を見て長谷川はある事に気がつく。
「僕も行くよ」
「はぁ?」
「転移魔法を使わない所を見るともう魔力が無いんだろ?」
「……だったら」
「空間移動は倒したけど、まだ君を襲うものが居るかもしれない。だから、僕も行くよ」
長谷川の言う通りで愛花の魔力は殆んど無い。
魔力が無い愛花にとっては長谷川の提案は是非とも受け入れたいものだった。
「美咲と合流したら、もういいから」
「うん。それでいいよ」
二人が病院を目指し歩き初めて直ぐの事だ。
二人は何かに押し潰されそうになった。
二人は立っていることも出来ず、地面に手をつき、ひび割れた地面を目にする。
「萱沼美咲は病院で合流するか」
宙に浮かぶ成田は二人を見下ろす様に告げた。
愛花は顔が確認出来なかったが声と、その重力操作によって成田からの攻撃だと理解する。
長谷川はその事態を解決するべく動こうするが、重力によって押し潰されている状況で長谷川の電光石火は無力化されている。
電光石火は自身の動くを高速で動ける様にするもので、移動は勿論の事だが、殴り、蹴り等の速度も早める事が出来る為、かなりの威力で攻撃も可能である。
しかし、重力によって押し潰されている状況では動く事も出来ない。