第234話 連携
長谷川と愛花は男の弱点とされる事について話会うなか、空間内で息を潜めていた男は動き始める。
男は長谷川と愛花の背後に現れる。
そして男は理解する。
目の前に魔法陣があり、その中心には圧縮させた魔力が今にでも放たれそうだ。
男が空間移動で自身の空間に逃げようと行動をしようとした時だった。
男の左手は後ろに捻られる。
「移動はしないのか?」
男は背後に居るのが長谷川と認識して、目の前の魔法陣を見つめる。
「可笑しいな。俺の空間把握は完璧だ。ここに来るまで、お前は中鏡愛花の隣に居た筈だが?」
「そうだ。お前が現れた瞬間にここに移動したんだよ」
「……随分と早いな」
「そういう能力だからね。これで逃げられないよ」
「どうかな?俺がその気になればいつでも移動出来るさ」
「なら、したらどうだ?」
(中鏡愛花の作戦通りに上手く進んでいる。僕がこの男に触れている限り、この男は自身を空間に移動出来ない。したら、僕も一緒に移動する事になる。何よりも、現時点で移動する様子もない)
愛花は魔法固定砲台を放つ。
「嘘だろ」
男は背後に長谷川が居るため撃ってこないと考えていたが、愛花は何の迷いも無く、圧縮させた魔力を打ち出した。
男は長谷川の手を振りほどこうと激しく左手を動かす。
「放せ」
男は空間移動を発動させ、無数の遺体を長谷川の頭上に落とす。
上から落ちてくる遺体を避けようとすれば避けられたが長谷川は避けなかった。その為、激しく激突する。それでも、長谷川は手だけは放さなかった。
「馬鹿が……」
男がそう発した時には魔法固定砲台から放たれた圧縮させた魔力が目の前まで近づいていた。
その激しく、神々しい光は男に直撃する。
「本当に早いわね」
愛花は一瞬で移動して息を切らした長谷川を見て告げる。
「嫌、ギリギリだよ」
長谷川はその言葉とは違い笑顔で答えた。その姿は余裕する感じる。
「当たったの?」
愛花は魔法固定砲台を放ったが、激しすぎるその一撃に直撃したかどうか分かっていなかった。
「直撃したと思うけど」
「……つまり、どっちか分からないって事?」
「……そう。なります」
「見たほうが早いわね」
愛花は魔法固定砲台によってえぐられた地面を歩き、男を探す。
直撃していれば、ただでは済まない。それほどの威力だと愛花は理解している。その為、愛花は男を探す。
そんな愛花の後を長谷川も続いて歩く。
「それにしても凄いな」
魔法固定砲台から放たれた一撃は地面に触れても居ないのに、地面をえぐっている。そんな地面を見て、長谷川は思った事を声に出していた。