第228話 中鏡愛花
成田から逃れて来た愛花は東京本部の地形が全く理解出来て無かった。
北海道支部で育って来た愛花にとっては東京本部の景色は新鮮だったが、それと同時に恐怖も感じていた。何も知らない土地で何も分からない情報で愛花は美咲に助けを求めるか悩んでいた。
しかし、成田が告げたナギサと言う子供と一緒に居るとなると美咲も愛花同様に誰かに追われ、攻撃を受けている可能性もある。
美咲の現在の状況が分からないまま、スマホで連絡して美咲の邪魔をする様な真似は出来る限り避けたい愛花は手にしていたスマホをポケットにしまう。
「良いから手を貸せ」
「随分と上からだなぁ」
成田は病院の駐車場の隅に置いてあった木製の椅子に腰掛けスマホを耳に当てていた。
「報酬はくれてやる」
「俺達はチーム[三羽烏]の最後のメンバーを取り合う間柄だろ?ここでお前を助けても俺には何のメリットも無い。詰まり……俺はお前を助ける理由が無い」
「……無いなら。理由をくれてやる。お前の能力じゃあ、[三羽烏]に入るには無理がある。そこでだ。今回、俺に協力すればお前にはチーム[三羽烏]のメンバー成田智則が造るチームのメンバーに加えてやる」
「……お前が[三羽烏]に入れる可能はかなり低い。そんなお前のメンバーになっても……なぁ?」
「[三羽烏]に入れなかったら、何でも一つお前の言うことを聞いてやる」
「……何でもね。良いだろう。それで?何をすれば良い?」
愛花はスマホのGPSを利用して隠れられそうな場所を探し、歩いていた。
「大丈夫ですか?」
ふらつく、愛花を見て一人の少年は近づいてくる。
愛花は答えることなく、歩き続ける。
「見つけた。中鏡愛花」
愛花は突然現れた男に警戒を強める。
「……中鏡愛花?北海道支部の?」
ふらつく、愛花を見て話しかけた少年は北海道支部中等部で実力者として有名な人物だと知り、驚きを隠せなかった。
愛花は突然現れた男が見るからに見方でないと思い、転移魔法を使用して移動する。
愛花が転移魔法で移動した事によって、二人の男は取り残される。
「貴方は何者だ?」
「……何者って?」
「中鏡愛花が理由も無く、逃げるのか?」
「……理由か?初対面の筈なんだけどな?成田の奴何かしたのかもなぁ」
「答えになって無い」
「答えねぇ。中鏡愛花を連れて来いって言われただけだからなぁ」
「そんな事はさせない」
「中鏡愛花の知り合いか?」
「僕も貴方と同じ初対面だ」
「可笑しいね。初対面の人間を命をかけて、守るのか?」
「可笑しいな。初対面の人間の命をそんな簡単に奪うのか?」




