第226話 見舞い
成田智則は重力操作の能力だ。
日本に50弱居る能力だ。
珍しいもない能力で他の人間に対抗するには上手く工夫する必要がある。
成田がそれが出来るかと言われれば、出来ないと断言出来る。
幼少期からチーム[ゼロ]に入った成田はお世辞にも勉学が出来るとは言えない。しかし、成田は体術が優れている。勉学が出来ない成田は重力操作と体術を組み合わせる事によってここまでやって来た。
そんな成田はとある病院の前にやって来た。
成田の表情には余裕等は無かった。
「すみません。友達のお見舞いに来たんですけど……どの病室に居るか聞きたいんですけど」
「では、入院している方のお名前を教えて下さい」
「……中鏡愛花……です」
「それでは確認をするので貴方の名前を教えて下さい」
病院の受付で成田は戸惑う。
成田智則と名乗れば、愛花が面会を断るだろう。
成田は渡辺京か萱沼大地のどちらかの名前を名乗るべきか考えていた。
成田は近しい人物である萱沼大地を名乗る事にした。
「萱沼大地です」
「萱沼……大地様ですね?」
受付の女性は手元のキーボードに何かを打ち込み始めた。
「申し訳ありません、ご案内は出来ません」
「何故?」
「本人では無い人は面会出来ません」
「……どうしても?」
「はい。規則なので」
「そうか」
成田は覚悟を決める。
出来る限り、攻撃をしない様にと決めていた成田はその考えを変える。
成田は重力操作を発動させる。
受付の女性は後ろの壁に張り付けにされる。
「それで、中鏡愛花はどこに居る?」
回りは突然の物音にざわつく。
しかし、成田は何も気にせずに受付の女性から愛花の居場所を聞き出そうとしている。
「506……です」
「その部屋に居るんだな?」
「……はい」
「……確かめに行ってくるよ。居なかったらまた来るから。それまでそこで待ってて貰うよ」
成田は受付の女性を壁に張り付たまま、愛花が居る病室に向かう。
成田は重力操作を使用して愛花の居る病室の扉を破壊した。重力を横方向にしてドアを圧迫したのだ。
「お前が中鏡愛花か?」
成田はベッドに横たわる愛花に確認を取るようにして話しかけた。
「誰ですか?」
愛花は面識の無い成田に質問をぶつける。
「……俺は……成田智則だ。と、言っても分からないか?いずれは、誰もが知る名になるだろうが……な」
愛花は警戒を強め、いつでも魔法が使える様に準備をする。