第225話 ナギサと京
「お前の妹なら大丈夫だろ?」
「何故言い切れる」
「お前の妹は転移魔法が使えるだろう。何かあれば移動する様に言ってある。わざわざ、戦う様な事はしないだろう」
「万が一に……」
「ナギサが居る。あいつに任せていれば問題は無い」
京はそう断言する。
そんな京を見た大地は妹の心配を止め、京とナギサの関係を気にしていた。
「一つ。良いか?」
「……何だ?」
京は苛立ちながらも答えた。
「お前とナギサの関係は一体……どんな関係何だ?」
「……何故、そんな事を聞く?」
「何故って気になったから」
「関係?今日あったばかりだからなぁ」
「……今日?」
「そうだ。今日あの研究所であった」
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「私と京の関係?」
「うん」
大地の能力によって地下を改造した隠れ家で京と大地の帰りを待つ美咲はナギサに疑問をぶつけていた。
そんな光景を無言のままナギアは見つめていた。
「……関係……京は私を助けてくれたの」
「ナギサちゃんを助ける?何かあったの?」
「私は遺伝子操作によって神の頭脳の能力を持って生まれる様に操作されて生まれてきたの。でもね。神の頭脳の持つ情報を全て手に入れたら、私を処分しようとしたの。でもね。京が助けてくれたの。多分、同情だと思う」
ナギサの話を聞いた美咲は何も答える事が出来なかった。
隣に居る小さな少女がこれ程の過去を持ち、それを受け入れているナギサにどう答えるべきか美咲には分からなかった。
「ナギアちゃんはどうしてここに?」
美咲は沈黙に耐えられず、正面で美咲とナギサを見つめて居たナギアに話かけた。
ナギアは少し間を置くと答える。
「私は研究所に予備として残されて居た所、萱沼大地がオリジナルと間違えて、外に連れ出されました」
「……えっと。お兄ちゃんが迷惑をかけてごめんね」
「……気にしていないので」
美咲は二人の少女を見つめ、中鏡愛花を思い出していた。
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「だから、理由なんて何も無い」
「理由も無く、あんな大きな研究所を敵に回すのか?」
京はナギサの能力神の頭脳によってナギサの過去を全て知り、地獄戻りを無理矢理覚醒させられている。
しかし、京はその真実を大地に告げる事は無いだろう。
大地は納得出来て居ないが、これ以上の追求をする事は無かった。
「帰るか」
「良いのか?」
「チーム戦をしているんだ。ここでチーム誘っても[リベンジャー]には来ないだろう」
「確かに、もうチームを組んで居るからな。でも、チームを組んで居ないものも居るみたいだが?」
「一度戻る」
「……ナギサが、心配か?」
「……うるせぇ」
京は早足で隠れ家に向かう。
大地はそんな京に合わせて歩き出す。