第220話 通り抜け(ノー・ストップ)
金髪の少年はレトロな食堂で注文した料理が運ばれるのを待っていた。
少年は店を見渡す。少年はレトロな雰囲気を好む為、この店に入ったと言っても良い。辺りにはレストランが幾つもあるが少年はレトロなこの店を選んだ。少年が注文したのはさばの味噌煮定食だ。店は年老いた夫婦が切り盛りしており、客は夫婦と仲が良い所を見る限り、知り合いなのだろう。
夫婦と仲が良い客一人と少年だけの店内は夫婦と仲が良い客の会話が絶えずに続いていた。
少年の元にさばの味噌煮定食がやって来る。
客との会話をしていた為、手際が悪く、遅くなったと言えるだろう。
しかし、少年はそこについて注意する事は無い。
旨ければそれで良いと考えているからだ。旨ければどれだけ待たされても良いと考えている少年は割り箸を割りさばの味噌煮に割り箸を伸ばす。
それを口に運ぶ。
少年は店を後にする。
「ちょっと、お客さん。会計」
「必要か?」
「えっ?」
「必要ねぇだろう?あんなものを俺に食わせやがって……必要なのはお前たちの制裁だ」
少年は能力を発動させる。
店は地面に吸い込まれる様に落ちていく。
店から出てきた店主は驚愕する。
日常ではあり得ない事が目の前で起きているからだ。
「一体何が起きたんだ?」
店主は戸惑う中、地面に吸い込まれる様に落ちていく。
「こんな所に居たのか」
「……東京本部は全て食べ終えた」
「だからと言って本部から出るのは控えろお前はチーム[スケルター]のリーダーなんだぞ」
東京本部から離れたチーム[スケルター]のリーダーを探して城山一哉はここまでやって来た。
少年ースケルターと城山は幼い頃からの仲で、スケルターが最も心を許した相手とも言える。
「もう戻る」
「……スケルター。近々管理する神が派手に動く様だ。お前にはやるべき事がある」
「……その時が来ればやるさ。それからチーム[三羽烏]は要らねぇ。さっさとチーム[スケルター]の副リーダーに戻って来い」
「そうしたいが、それは出来ねぇ。デュラークの下に付くのは気に食わないが俺にはやるべきが事がある」
二人が話す中、東京本部からスケルターを捕らえるべく、数十人の人間がやって来る。
「……だから、あのビルで大人しくしてろと言っただろう」
「食べるものが無いんだ。仕方ないだろう」
「用意されるだろう?」
「飽きた」
「……そうか。今回限りにしてくれよ」
「……あぁ。約束は出来ないが、なぁ」
「分かっている。お前はいつもそうだからなぁ」
二人は敵意を向ける数十人の人間を見つめる。