第211話完全模倣(パーフェクト・レプリカ)
完全模倣。
優菜は目視した物を全て造り出す事が出来る。
その能力がある限り、舞がどんな剣を造り出しても優菜も同じ剣を造れる。
つまりこの戦いでは剣術が優れたものが勝利する事を意味している。
お互いに魔剣を握る。二人は笑みを浮かべる。
川上道場で何年も剣術を高めあった親友との戦いに二人とも心踊らせる。
「じゃあ、行くよ」
優菜は距離を縮める。
お互いに魔剣を交える。
「相変わらず、力強いね」
舞はひきつった笑顔で優菜に告げる。
そんな舞を見て、優菜は余裕な笑みを浮かべる。
剣術、体術に自信を持つ優菜は一度剣を離し、後ろに後退する。
優菜は魔剣を素早く、回転させる。その姿は余裕そのものだ。
「舞。貴女は昔とは違う。妖魔剣創造を自在に使える様になっている。でもね、私には勝てない」
「やって見なければ分からない。私はまだ全力を出してない」
「だとしても、無理よ。降参して」
「ここで負けたら……」
「貴女達のチームが私達のチームに統合されるだけ」
「それが嫌なの」
「……亮太君の事が気に食わない?」
「私はただ、廉と……」
「廉以外の全員をチーム入れるっていっていたけど、私が口利きして、廉も入れる様にお願いしても良いのよ?」
「私達は勝ってチーム[アブノーマル]を守る」
二人は手に持つ魔剣を強く握る。
優菜は手にしている魔剣を見つめる。
それと同時に全く同じ魔剣を造っていく。造られた魔剣は地面に落ちていく。
舞には優菜が何をやっているのか分からなかった。
「それじゃ、行くよ」
優菜は手にしている魔剣を地面に落ちている魔剣に振るう。
地面に落ちている魔剣は優菜によって弾かれ、舞に向かって飛んでいく。
舞は飛んできた魔剣を手にしていた魔剣で打ち落とす。
「まだまだ、行くよ」
優菜は地面に無数に落ちている魔剣を手にしている魔剣で弾き、舞に向かって飛ばしていく。
舞は全て弾き返す。
辺りには魔剣が散らばる。
「……少し工夫しないとね」
優菜は魔剣を弾くのを止める。
優菜は舞を見つめる。
優菜は完全模倣を発動させる。
「舞が三人……嘘?」
優菜の能力によって舞の分身が造られる。
そんな光景を見て、遠くから見ていた彩美は驚愕する。
全く同じ姿をした舞が三人も居るからだ。
舞は少し驚いたが、直ぐ様冷静さを取り戻す。
舞は自身と同じ姿をした二人を見つめる。
そして、確認する様に舞は魔剣を造り出す。
「やっぱり。これが完全模倣の弱点」