第210話 敗北
大河の一撃に紫音は倒れる。
「悪いがもう立ち上がらないで貰うよ」
大河の一撃は紫音に直撃はしておらず、ただ地面を殴りつけた衝撃によって倒れただけであった。
大河の言葉通り紫音は立ち上がらなかった。仮に立ち上がっても大河に勝てるイメージが湧かない紫音は立ち上がれない。自身の弱さと未熟な自分に嫌気がさしてきた。
「紫音、大丈夫か?」
廉は倒れ込む紫音の顔を見つめ、確認を取る。
廉は思ったよりも紫音の様子が大丈夫なのを確認して手を差し出す。
紫音はその手を取る事をためらう。その資格は無いと考えるからだ。
しかし、廉は紫音が手を伸ばすのを待っている。
紫音は廉が気遣いを無下に出来ないと手を伸ばし、廉に体を起こして貰う。
「廉、すまない」
「良いさ。後は俺達に任せろ」
紫音と廉が話終わると同時に優菜は笑みを溢しながら廉に告げる。
「次の相手は廉……貴方で良いの?」
「……優菜。次はお前か」
次の戦いで敗北すればチーム[アブノーマル]全員はチーム[ドラゴノイド]に加わる事になる。廉は自身が戦う為動き出す。
「優菜。私が相手よ」
「……舞」
後ろから舞が告げる。
廉はただ、そんな舞を見つめていた。
「……舞が相手?」
「うん。全力で行くから」
「そう。これは私も本気で行かないとね」
廉の置いて話が進む中、舞は廉に笑顔を向ける。
廉は任せておけと言う意味の笑顔なのか?と解釈し、舞に任せる事にした。
舞と優菜が戦う為、廉と紫音は少し離れた場所に居る彩美が居る場所に移動する。
「全く、分かってるの?あんた達が負ければ私と舞が困るの」
「嫌、俺も紫音も困るよ」
嫌みを言う彩美に廉は彩美に聞こえるかギリギリの声で告げる。
「何か言った?」
「嫌、何も」
廉は慌てて、誤魔化す。
「ごめん。僕が負けたせいで」
「気にするな」
紫音は申し訳無さそうに二人に謝罪する。
勢い良く話していた彩美は紫音の謝罪で勢いを失う。
「それでは、第2試合を行う。坂田優菜対川上舞。試合開始」
体育教師の戦いの宣言が行われた。
「優菜。久しぶりに私の全てをぶつけるよ」
「良いわ。全て受け止めてあげる」
「受け止めきれないよ」
「……楽しみね」
舞は妖魔剣創造を発動させる。
舞は魔剣を握る。
それは、優菜も同じた。
「舞。私の完全模倣がある限り、貴女の造る剣は全て私も造れるのよ」
「でも、貴女の能力は相手に依存をする」
「……確かに。でもね。私の能力は生物も対象に出来るのよ。つまり私と舞の二人のコピーも造れる」