第206話チーム対抗戦
京がナギサと出会いチーム[リベンジャー]を結成している頃東京本部で行われている特別訓練でチーム対抗戦が始まろうとしていた。
「どのチームとやるんだろう?」
廉は一人呟く。
廉はチーム[アブノーマル]のリーダーとして、チーム対抗戦の組み合わせを聞きに来た。
新入生だけが、特別訓練を行っている為、ここに居るチームリーダーは10人位である。
「木山、お前はチーム[ドラゴノイド]とやって貰うからな」
「はい」
廉は筋肉質な男性教師から対戦するチーム名を聞き返事をする。
「……あいつがリーダーだ」
廉と筋肉質な男性教師の居るこの場所に向かってくる一人の男を見つめ、筋肉質な男性教師は廉に告げる。
向かって来る男は東京本部の制服を着ておらず、黒い学ランを来ている。
黒い学ラン、白いYシャツのボタンを一つも閉じて無く、Tシャツが見える。
「お前が[アブノーマル]のリーダーか?」
「……そうだけど?」
「チーム対抗戦は代々メンバー引き抜きが許されている。一人一人チマチマ引き抜きしても仕方ねぇ。どうだ?勝ったチームは好きなメンバーを引き抜けるってのは?」
「断る」
黒い学ラン姿の男の提案を廉は直ぐ様断った。
それ以外の回答を廉は持ち合わせていなかった。
「……弱気だね。優菜から聞いていた話だとお前たちはなかなか見所のある奴らだと聞いていたんだが?」
「優菜?まさか?」
「坂田優菜はチーム[ドラゴノイド]の副リーダーをしているぞ」
「……」
「分かるだろ。あいつの強さ。そして、あいつ以上の力を持つ俺の強さが」
廉は理解していた優菜の強さをそしてその優菜を従えるその前に居る黒い学ランを着た男の強さを嫌でも理解していた。
「俺一人で決められる事じゃない」
「こんなリーダーじゃ他のメンバーもたかが知れてるな」
「俺の事は良い、けど、あいつらを悪く言うな」
「それで良い。リーダーなら、メンバーの為に動ける奴じゃ無いとなぁ?」
「俺達は負けない」
「……そうかい。でも、勝てるかな?」
挑発を続ける黒い学ランの男の言葉に廉では無いものが答える。
「勝てるさ」
「紫音」
黒い学ランの男の言葉に答えた紫音の顔は自信に満ち溢れたものだった。
「じゃあ、俺たちが勝ったらリーダーのお前以外を貰うぞ。良いのか?」
黒い学ランの男のその発言は廉以外、紫音、舞、彩美をチーム[ドラゴノイド]のメンバーに加える事を意味していた。
これに関しては紫音は答える事は出来なかった。自身だけなら答えられたが、舞や彩美までとなると答えられなかった。