第205話 トラウマ
目を覚ました愛花の体中は小刻みに震えていた。
「愛花?」
いつもとは違う愛花の様子を見て、美咲は戸惑う。
「……」
美咲に声をかけられても、愛花は答えない。
ただ頭を抱え、震えるだけだ。
「……どうする?」
京は隣に居るナギサに聞く。
神の頭脳なら愛花の脳を書き換える事も出来る筈だと京は知っている。ナギサの全てを知った京はトラウマの愛花を治せると理解していた。
「治しても良いけど……これは彼女が乗り越えなきゃ」
「……越えられるかねぇ?」
「出来るよ。人間は強いから」
「……そうか?……そうだな」
ーーーーーー
「これからどうする?」
大地は隣に立つ京に聞く。
現在、京、大地、美咲、ナギサ、ナギアは病院の外に居た。
愛花を病院に預け、これからどう動くかそれは全員が考えている事だ。
「とりあえずチーム[リベンジャー]には隠れ家が必要だよ」
「……チーム[リベンジャー]?」
ナギサによってチーム名が決められ、京は確かめる様にナギサに聞き返す。
京にとってはチーム名は何でも良いため、否定はしない。
「……隠れ家ね?……候補はあるのか?」
京はナギサに尋ねる。
「あるよ」
「何処に?」
「造るの」
「造る?」
京の質問にナギサは地面を見つめて答える。
これにより京も理解する。
京とナギサは大地を見つめる。
大地の地面方位とナギサの神の頭脳を利用して使わなくなった地下施設を造り直す事にした。
「電気も水も使える。凄い」
美咲は電気と水が使える事に驚くと部屋を見渡す。
元々は研究所だったが、地面方位によって大広間と10の部屋に造り直された。
「何でこんなに部屋を造ったんだ?」
「何事も多めに造っておけば後で役にたつんだよ」
「……そうか」
京はそれ以上追及しなかった。