第203話 土下座
「何の様だ?」
京は目の前に現れた大柄な男ー大地に警戒して告げる。
京のその表情は殺意すら感じる。
そんな京の徒なりには少し怯えたナギサが居た。そんな、ナギサは大地の隣に居る少女を見つめる。
その少女が自身の能力の情報を詰め込まれたものだと理解するのにそれほどの時間はかからなかった。
大地は何の迷いも無く、土下座をする。
「頼む。妹とその友達を助けてくれ」
「悪いがこいつに能力は使わせない」
「……」
京のその一言に大地の表情は絶望に染められる。
京はナギサを守る為に動き、今まで能力を使い続けたナギサにこれ以上能力を使わせない様にすると京はここに誓っている。
「良いよ。私の能力で助けられるなら」
「……良いのか?」
ナギサのその一言に京は反応する。
「良いよ。ただし条件があるの」
ナギサは大地に近づき告げる。
「何でもする。この命を賭ける」
「……京が作るチームに入って」
「「はっ?」」
ナギサのその一言に京と大地は同時に声を発する。
大地にとっては想像もしていなかった一言であり、京にとってはチームを作る話すらしていなかったにも関わらずに言われた為、思わず声が出ていた。
「京に言われて、守られて私は生きたいと思った。それは京と一緒だよ。これから私と京は多くの敵に狙われると思う。だからチームを作った方が良い」
「……お前が良いなら俺は、それを否定はしない」
「ありがとう」
ナギサは京に笑顔で答えると大地を見つめる。
「私は貴方の妹とその友達を救ってみせる。出来たら……」
「分かっている。チームに参加させて貰う。ただ、俺は、いいが……」
大地は言葉を詰まらせると妹に目を向ける。
「分かってる。貴方だけでも良いよ。無理に入れたりしないよ」
「……恩にきる」
土下座していた大地は更に頭を下げた。
ナギサは美咲と愛花の幻術を解くために近づく。
「貴女がオリジナルですね?」
「……うん」
「貴女の能力、ここで見ていても良いですか?」
「良いよ」
ナギサはナギアとの初めての会話だったが、戸惑う事無く、答える。
ナギアはここに居るだけで無く、世界中の管理する神に無数に存在していることをナギサは理解している。ここにナギア居るのも、大地によって連れてこられた事も理解している。
ナギサは能力を発動させる。
ナギサの頭上から光輝く脳が出現する。
光輝く脳は美咲と愛花の脳に光を当てる。
「何だ?あの脳は?」
「あれが神の頭脳です」
「……これで美咲は助かるのか?」
「はい。間違いなく」