第201話 大地の決断
地面に倒れる大地はゆっくりと目を開け、敗北した事実を受け止める。
この敗北は相手が死んだら発動するもので殆んど無能者と大地が認識して京を下に見ていた事も関係していた。
そんな敗北をした大地は何故、京はナギサを守る為あの研究所を敵に回したのか?と言う疑問について考えていた。
大地に分かる事は京はナギサを守るため希少な覚醒まで、ものにしようとしている。その覚悟は本物と認められる程に。
そんな覚悟を見せた京の姿を見て、大地はもうあの二人を狙う事を断念する。大地はゆっくりと立ち上がる。大地は京とナギサの姿を自身と妹に重ねていた。
大地は京と同じく、あの研究所を敵に回さなければいけなくなった事に笑みを溢す。妹の美咲は病院では無く、研究所に居る。それは幻覚は通常の病院では対処出来ないとされ、大地は研究所に任せていた。どのみち、京とナギサを連れていけなかった時点で大地と美咲の安全は保証されない。そんな、状況で大地地下にある研究所に居る人間全てを把握する。大地の能力なら地面に触れている相手の居場所を把握することが出来る。
医務室には美咲一人だけだ。
この状況に大地は笑みを溢す。大地は地面方位を発動させ、美咲を守るため医務室を隔離させる様に地面を動かす。
大地は研究所を目指し、歩き始める。
研究所は大地の能力によって大幅に変化している。
その為大地は医務室まで一本道だ。
この一本道に人間は居ない。それは大地の能力によって人間の位置を把握しているため、大地は警戒する事も無く歩く。そんな大地は驚愕する。
道の途中で一人の少女に出会う。大地はその人物の事を知っていた。
ナギサ。
この研究所からの依頼で連れてくるようにと言われた大地はナギサについて知っていた。
ナギサがここに居るとなると京が敗北、又は死亡した事になるが、大地は納得出来ずに居た。しかし、妹ー美咲を救う事が出来る存在に希望を感じる。
「悪いが、俺に力を貸してくれ」
大地は先程出会ったナギサと雰囲気が違ったがナギサと思われる少女の手を握り、医務室に向かう。
「美咲」
大地は未だに目覚めない妹を見て涙を浮かべる。
大地は美咲と隣に居る中鏡愛花を連れ出し、外に向かう。
公園のベンチに二人を寝かせる。
「頼む。この二人を見てくれ」
「……この二人は幻覚だと聞いていますが」
「だから、それを治す方法を」
「幾つか治す方法は知っていますが、オリジナルであるナギサに聞いたほうが早いと思います」
「お前はナギサじゃないのか?」
「はい。私はオリジナルであるナギサから情報を受け取った人造人間です。オリジナルがナギサなら私達人造人間はナギアとなるでしょう」