第200話 京の一撃
京は放出している黒いオーラを自在に操れる感じはせずに、ただ黒いオーラを体内から外にだだ漏れさせている様に思える。
この事から京は覚醒の力を自由に扱う事はない。
しかし、大地のとっては覚醒の現象は理解は出来ない。
その為、京の覚醒がしっかりと操る事が出来るものだと認識する。
京は固く拳を握る。ナギサを守りたいと思いを込めて。
京は足を動かす。その足の一歩一歩が重い。これからナギサを狙うものが次々と現れると思うと京の足取りは重くなる。しかし、京は止まらない。
ナギサを守る。ナギサの過去を全て知って、京はナギサを狙う全てと戦う覚醒を強く決める。
大地は目の前に居る京に対して早めに対処する事に決めた。
大地は京の右側と左側にある壁を動かす。
動いた壁を京を挟むようにして動く。その壁が京に触れた瞬間に京の体から放出されている黒いオーラによって粉々になる。
「……何故だ?地獄戻りが覚醒しただけでこれ程の破壊力を」
大地は壁の移動だけで無く、壁の強化をしていた。そんな壁を簡単に破壊した京の覚醒に大地は驚きを隠せなかった。
攻撃性が全く無い能力がこれ程の攻撃力を得た事に大地は戦い方を変更する。
「地面方位が地面操作しか出来ないと思ったか?見せてやる」
「うるせぇこれで終わりだ」
京は固く握った拳を振るう。その拳からは圧縮した黒いオーラが大地に向かって放出される。
その一撃は壁に激突する。大地が避けた訳でも、京の狙いが悪かった訳でも無い。京の体は正面から右へとずらされていた。
「どうなってる?」
戸惑う京に背後に居たナギサは答える。
「京、地面方位は地面に触れている物の方位を変える事が出来るの」
「……それでずらされたのか」
ナギサからの情報によって京は笑みを溢す。
大地との距離とナギサの距離を確認して、京は全身から大量の黒いオーラを放出される。覚醒の扱いが上手く使えてはいないが少しずつものにしていく。
「方位、方角を自在に操れても、距離は無理だろ?」
笑みを溢す京のその言葉に大地は焦る。
「出来るさ。地面を動かせば良い」
「間に合わねぇよ」
京は全身から大量の黒いオーラ放つ。
遠くに居るナギサには届かないが、大地には届く。
黒いオーラを正面に受けた大地は後ろに吹き飛ばされる。
そんな大地に京は距離をつめる。
「お前の能力はお前自身が地面に触れていないと発動出来ない……そうだろう?」
吹き飛ばされ、地につくことが出来ない大地に京は固く握った拳を勢い良く振るう。
その一撃を受け、大地は地面に叩きつけられる。
地面に叩きつけられた大地は動かない。その後変化していた道、地面が元通りに戻っていく。これは大地が気絶した事を意味している。