第198話 地面方位(グランド・コンパス)
「どうする?」
京はナギサに迷う事も無く、聞く。
そして、京はナギサの答え次第で動く事を決める。
自身で答えを決めるよりもナギサが出す答えのほうがいいと考え、そうする事にした。
ナギサは周りを見渡し、考え込む。
「元の道に戻すには能力者を倒すしか無い」
「つまり、俺がそいつを倒せば良いんだな?」
「……簡単にはいかないと思う」
「そうか。どの道そいつを倒すしか無いんだろ」
「うん。ここで待っていれば、来ると思う」
「その能力者は俺達の居場所を把握しているのか?」
「していると思う。人間を挟まない様に道を塞いでいるから」
「人間を把握して、道を塞ぐ事が出来る能力があるのか?」
「あるよ。地面方位。地面に触れている物を把握して、地面操作を行う。この能力があれば地図を書き換える事も出来る。」
「……地面方位。そう言えば同じクラスにそんな能力者が居た様な……」
京が思い出した様に呟くと京とナギサの後ろの道はアスファルトが隆起して道を塞ぐ。
左の道は建物同士が合わさり、道を塞ぐ。
これにより、右の道のみが塞がれて無い事になったがナギサは動こうとしない。そんなナギサを見て、京も動かない。
ナギサの頭脳は世界一と言える為、ナギサの行動に合わせれば間違いの無い行動が出来るだろう。
「あれが能力者……だよな?」
「うん。他の人間が通れない様に道を塞いでいるから、ここに居られるのは能力者本人と能力者の意思で足止めされた者だけ」
「つまり、俺とお前とここに向かって歩いてくるデカイ奴だけか?」
「うん」
京とナギサは少しずつ迫る男をただ待っていた。
壁を破壊出来る程の攻撃力を持たない為、待つことしか出来ずに居た。
神の頭脳の能力によって京は無理矢理、覚醒出来る状態になっているが、京にとっては使い方が分からないものを無理矢理渡された様なものだ。
つまり、京は覚醒させることが出来ない。
迫ってくる男に京は地獄戻りで戦うになる訳だが、京には勝算等は持ち合わせていなかった。
「……お前と話すのは初めてだな」
「……そう……だな。それで、用件は?」
「お前には用は無い。隣に用がある」
迫ってきた男ー萱沼大地は京の隣を見つめる。
そんな大地につられて、京もナギサを見つめる。
「……悪いが、こいつに用があるなら俺を通せ」
「お前には関係無い」
「こいつの全てを知ったからには……俺は、こいつを日常に連れていく」




