第196話 焦る成田
デュラーク・クラークの転移魔法によってチーム[ゼロ]が拠点を置くビルに到着した成田は目の前に居る男に警戒を強める。
城山一哉。
チーム[三羽烏]の副リーダーをしている男で原型崩壊の能力者でもある。成田は過去に城山に挑み瞬殺された過去を持つ。そんな事もあって成田は城山に対していつも警戒を強めている。
ビクビクと怯える成田は城山は不適な笑みを浮かべると
「任務の途中で帰ってくるとは……期待外れだなぁ」
「申し訳ありません。もう一度だけチャンスを……」
「チャンス……ねぇ?チーム[三羽烏]の最後の一人の候補は二人居る先ずは三年間頑張ったお前か、チーム[クリムゾン]のリーダー檜山仁。……今のところ檜山仁が優勢だな。何しろあいつは覚醒が始まっている」
「俺も覚醒すれば」
「お前の覚醒ね。お前の能力って重力操作だろ?檜山仁は魔法もあるし、それにあいつの能力は紅蓮の炎は世界でたった一人しか居ない能力者だお前の能力は日本で50人弱も居る能力と比べると……チーム[三羽烏]の最後のメンバーは檜山仁で決まりかな?……お前にも可能性は残ってるんだ。頑張れよ」
「……はい。失礼します」
成田はチーム[ゼロ]の拠点とするビルをデュラークの転移魔法によって外に出る。城山の話から成田は自身の立場が無くなるのも時間の問題だと言う事を理解する。
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ゲームセンターで一つの戦いが始まっていた。
その敵はどれだけの攻撃を受けても全く動かない。どれだけ金を積んでも倒れる事をしない。その相手は感情も無く、ただ京の目の前に立ち塞がる。
その相手はぬいぐるみ。
子供であるナギサの為に京は熊のぬいぐるみを取ろうと何度も機械に金を注ぎ込む京の姿を見たナギサは一体何をやっているのか、理解出来ずに居た。
「……」
「なんだよ?」
「何度も同じミスを繰り返すから……学習力が無いのかなって」
悪気があるのか無いのかナギサのその一言に京のやる気は漲る。
「見てろ。直ぐに取ってやる」
「……別に取って欲しい訳では……」
ナギサの言葉を聞くことも無く、京はクレーンゲームと向き合う。
「どうだ?」
「確率で言えば取れて当たり前だと思えますけど……」
「どうでもいい。これやる」
ナギサは京から熊のぬいぐるみを受け取る。
京から受け取ったぬいぐるみはナギサにとっては初めて人から貰った物にナギサは笑みを溢す。