第192話 プロジェクト・ナギア
少女の光輝く脳が京の脳と同化した事によって少女の記憶が京の脳に流れていく。
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管理する神はある計画を立案する。
その計画を進めるには必要なものがあった。
それは単純で純粋なもの。ただ頭が良い存在が必要だった。
探した所で見つかるのは、少し頭が良いだけでは足りない。
そこで一から造る事にした。
まずは演算によって母親と父親を選別した。
母親は家庭を持っていたが、切り離した。父親は日本人だった。
この二人の間に産まれた少女は管理する神が望む能力を持って産まれて来た。
神の頭脳。
世界でこれ程の頭脳を持つものは居ないと言われる頭脳の持ち主である。
管理する神は神の頭脳を利用して、プロジェクト・ナギアを進める。
正式名称プロジェクト・ナーヴ・ギア・アクセスである。
神の頭脳に電極を繋げ、情報を取り出すこの計画は少女が産まれた瞬間から行われた。
ナーヴ・ギア・サクセスから抜き取り。
少女は研究者からナギサと名前をつけられた。
研究の成功を願ってそうつけられた。
ナギサが9歳になった時、ある人物が現れる。
「お前がナギサ……嫌、神の頭脳か?」
ナギサは目の前に居る男を不思議そうに見つめる。
それは白衣を着た研究者以外に声をかけられた事もあったが、目の前に居るのがここに来るなんて考えもしなかったからだ。
「無神。チーム[ゼロ]を納める男がこんな場所に来るなんて」
ナギサは無神とはあった事も無いが知識として知っている。
「お前に聞きたいことがある」
「私に?」
「お前に聞いて無理なら誰に聞いても無理だ。だからこそここに来た」
「何を聞きたいの?」
「無神の異能についてだ。これはいつまで続く?」
「一生だよ。無神、貴方は覚醒すると無限神になる。これは無限の命、無限に細胞分裂を繰り返せるのが無限神の恐ろしい所。つまり貴方は……」
「そうか。もういい」
「いつから?貴方は一体いつから生きているの?」
「……忘れた。遥か遠くにな」
無神はナギサにそう言い残すと研究所を後にする。
そんな無神にナギサはただ見つめていた。
「まさか、無神様がこんな所に……来るなんて」
「……チーム[三羽烏]の一員なんだっけ?」
「嫌、候補の一人だ」
「こんな所で何をしているの?」
「……上に報告する任務を与えられている。これが成功すれば俺はチーム[三羽烏]の一員になれる」
その男が野望に溢れた表情で告げた。