第189話 東京本部地下施設
四月五日
日本全国の地下施設が襲われる事件が発生したが現在は全ての問題が解決していた。山梨支部、東京本部を襲ったチーム[クリムゾン]達の罪は問わない事にして。
チーム[クリムゾン]が拐ったのはエネルギーを奪うために捕らえていた無罪の人間だからだ。ここでチーム[クリムゾン]を取り押さえれば、理由が必要となる。地下施設はこの件については全てをもみ消しを行った。
しかし、チーム[クリムゾン]の影響によって日本全国の人間が地下施設を襲う原因を作ったのはチーム[クリムゾン]だろう。
日本全国の地下施設の修繕、北海道支部の復興等日本における防衛は著しく低下しているのは誰の目から見ても分かるレベルだ。
北海道支部での事件があってから日本全国の能力者育成機関は通常は六月に行われる新入生特別訓練を早め、この日に行われる事になった。
急な行事の変更に様々な問題がある中で特別訓練は開始された。
「はぁ」
東京本部の体育館で一人の男がため息をつく。
そんな男を見て、一人の男が笑みを溢す。
「本当なら休みだって話だったのにね」
笑みを溢した佐倉紫音はため息をついた木山廉に告げる。
そんな紫音は話に廉は再びため息を溢す。
「全く。今日は休みにしてくれよ」
「昨日は北海道支部での戦いがあって皆、救助活動や幻覚にかかってしまった人達の対応等で疲れているからね。怪我に繋がらなければ良いけど」
東京本部の高校に通う新入生(一年生)達はほぼ全員が北海道支部に向かっていた。その中で怪我も出ているのにも関わらず、新入生特別訓練をやる事に対して生徒達は勿論、親達も首を傾げる程だ。
現在、体育館では理事長の長い話が繰り広げられていた。
「やっと。話が終わった」
「終わったのは良いけど。これから怪我人が続出し、辞める人達が続出する。新入生泣かせの時間だよ」
「あの話よりかは良いだろう?」
「どうだろう?あの話のほうが良いと思えるかもよ?」
「それは楽しみですなぁ」
新入生特別訓練はチームを組んでいれば、そのチームでの行動が認められている。その為、廉がリーダーを努めるチーム[アブノーマル]の全員が校庭に集まっていた。
「遅い」
金髪の少女は遅れて来た廉と紫音を睨み付け、右手に雷を纏わせながら告げる。その右手はいつでも撃てる様に準備されているかの様に。
そんな金髪の少女に黒髪で笑顔を絶やさない少女は止めに入る。
「彩乃。駄目だよ」
「けど……」
川上舞は北海道支部での一件でチーム[アブノーマル]の一員となった加藤彩美を宥める。