第182話 覚醒の炎
仁が右手に纏わせている紅色の炎だけで無く、仁の体中から黒いオーラが放出され始める。
「……覚醒の特徴に全てが一致するな」
城山は目の前で起きている現象に思わず、呟く。
そんな状況で二人の男が転移魔法で現れる。
デューク・クラーク、デュラーク・クラークの兄弟だ。
そんな二人に城山は気づく。
「……デュラーク。弟が生きている様だが?」
「あえて、生かしている」
「君を誰も殺していない様だが?」
「……前を見ろ」
デュラークは城山に言われるがまま仁を見つめる。
そして、仁の状態を見て理解する。
「退却命令が出ている。戻ろ」
「……あいつがそれを許すか?……ちっ」
城山は身を纏っている衝撃波が紅色の炎に黒いオーラが混じったその炎に焼かれ、舌打ちをする。
「……君の原型崩壊を……間違いない。覚醒だ」
仁の炎を見てデュラークは断言する。
「今まで、彼は覚醒の兆しすら無かったのに……何かしたみたいだね?」
「何もしてねぇよ。突然だ」
「……そう。覚醒しているとは言え、暴走に近い。このままにして……退却だ」
「誰の命令だ?」
「無神様だ」
「……俺は無神の下に付いた覚えはねぇ。俺が付くのは……」
「分かっている。その為の[三羽烏]だからね。副リーダーを思う君の気持ちは理解している。しかし、命令は命令だ。デューク、彼の事は任せるよ」
「チーム[三羽烏]のリーダーが無神にけつを振りやがって」
「……続きは後で聞くよ。デューク……頼むよ」
デュラーク、城山の二人はデュラークの魔法陣によって移動する。
デュラークのその言葉通りにデュークは動く。
「仁?」
城山の姿が視界から外れ、仁は倒れる。
デュークは仁に駆け寄る。
辺り一面の地面から煙が上がる。頭が無いデュークはそれを見る事は出来ないが、鎧の胸の中心に埋め込まれた巨大な魔法石は強く反応する。
(これ程の熱量……やはり仁、君はただ者じゃ無いよ)
デュークは仁を抱えると魔法陣で転移魔法を発動させる。
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チーム[三羽烏]、[カオス]、[ハンド]のメンバーは北海道支部から離脱した。これにより北海道支部での戦いは終了を向かえた。
そんな中、管理する神の傘下チーム[ゼロ]が集まるビルで現在会議が行われていた。
そのビルは無神の力によって姿、形は認識出来ない。無神の異能力によって色を無にしている。
更に副リーダーの能力通り抜けによって触れる事を出来ない。管理する神の傘下のチーム内でもトップクラスの要塞の一つだ。