第181話勝利への執念
仁が放った紅色の炎は仁が出現させて置いた魔法陣にぶつかる。
紅色の炎は魔法陣を潜り抜けると更に激しさを増す。
大きさ、威力、破壊力、スピード全てが先程までとは比べ物にならない程になっている。そんな一撃が城山に襲いかかる。
直撃と共に仁は右手に紅色の炎を纏わせる。
仁は地面に紅色の炎を放出させて、宙に逃げる。
その直後、辺りを舞う砂埃がガラスが割れる様にして破壊されると城山の姿が現れる。その衝撃波は止まる事なく地面にぶつけられていた紅色の炎にぶつかる。地面にぶつけていた紅色の炎もガラスが割れる様にして破壊される。紅色の炎によって宙に逃げていた仁は紅色の炎が破壊されると地面に叩きつけられる。仁の体は城山の衝撃波を何度も受けて着地すら出来ない程になっていた。
「無駄な抵抗しやがって。炎を使って空に飛んでも俺の衝撃波はお前の炎を簡単に破壊出来る。何度も見せたろ」
「……負ける……訳には……行かない」
「負けたくない?……バカか。実力も無い奴はどうやっても、どう足掻いても勝てねぇよ」
城山のその言葉に仁は反応する。
仁の体中を駆け巡る。
「俺が……何故、敗北者にならないと……行けない。俺は強者だ」
「そう言うとこは立って言えよ。寝転んで言う事じゃ無いだろう?」
「うっうぅ」
仁は体を起こす。
しかし、どれだけ力を入れて、体は言うことを聞かない。
仁は考える。城山が言う様に地面に倒れていれば、何も出来ない敗北者になる事を。だから、早く立ち上がらないと行けないことを。
そんな仁から体から黒いオーラが漂う。
「……こいつ、黒魔術に?……それとも覚醒か?」
仁は体を起こす。
今まで城山に受けたダメージを感じさせない位簡単に。
仁は右手に紅色の炎を纏わせる。
その瞬間。紅色の炎は黒く染まる。
(炎全てを黒色に?)
黒魔術ではあり得ない現象だ。
所々や斑に黒いオーラを纏わせる事は出来ても、全ては出来ない。
つまりはこの現象は黒魔術では無い事を意味している。
「……こいつ覚醒しやがった。」
(ドレア・ドレス、荒川玲愛に続き日本で三人目……確か、神田翔は錬金術での覚醒の為排除と言っていたからなぁ。と、なるとこいつは殺せないなぁ。連れて帰らないと)
「俺は勝つ」
仁は自分に言い聞かせる様に告げる。
その勝利への執念は滾る程、炎は黒さを増す。
そんな仁の頭には木山廉との戦いの敗北や現在の力の差が仁を駆り立てる。




