第180話 全身を覆う衝撃波
城山はそのまま中指と人差し指を擦らせる。
城山の手は前にあり、背後に居る仁に衝撃波が届くとは思えない。その行動には仁も驚く。城山は悪意に満ちた笑みを浮かべる。
その瞬間、城山の全身を衝撃波が包み込む。
仁は振るった拳を急いで止めようとする。しかし、勢い良く振るわれた拳は止まる事は無い。全てを破壊すると言っても過言では無い衝撃波を身を纏った城山に触れれば、どうなるか位仁は理解していた。
仁の拳は城山に触れる。正確には身に纏った衝撃波に触れる。
「ああぁぁぁ」
仁は地面に転がる。
城山が纏っていた衝撃波に触れた瞬間、右手に包まれていた紅色の炎と右手はガラスが割れる様に破壊される。
あまりの痛さに仁は右手を確認する。右手は真っ赤に腫れ上がる。
「痛いだろ?それ、悪いな原型崩壊は人体以外なら何でも破壊するが、人体だと何度も痛め付けないと殺せない面倒な能力だからな。つまり……これから痛め付けて訳だが……」
城山が話す中、仁は右手を紅色の炎を纏わせる。
そんな仁に城山は手を振るう。
それと同時に身に纏っていた衝撃波が仁に向かって飛んで行く。
その衝撃波は仁の体を包み込む。
仁の右手に包まれていた紅色の炎はガラスが割れる様にして破壊される。
そして、それは仁の体に襲いかかる。
原型崩壊は人体以外なら全てと言っても良いほどの破壊力を持つ。それ故に仁の右手に包まれていた紅色の炎は破壊出来ても、仁の体は破壊出来ない。しかし、そのダメージは仁の体に蓄積されていく。
仁は体中に走る痛みを耐えながら、右手に紅色の炎を纏わせる。
「学習能力が無いのか?」
何度も破壊されて来た紅色の炎を纏わせた仁を見て、城山は告げる。
仁はそんな城山の言葉を聞く事なく、固く握られた拳を城山に目掛けて振るう。その拳は城山には届かないが紅色の炎は違う。激しい回転をしながら城山に向かっていく。見るからに破壊力がある炎を見ても城山は動かない。
城山は現在、全身に衝撃波を纏わせている。これによって城山に触れるものは城山に届く前に衝撃波にぶつかってしまう為、全ての攻撃を無効化出来ると言っても過言では無い。
その為、城山はどんな攻撃が来ても衝撃波がある限り避ける事はしない。
そんな城山の目の前に魔法陣が出現する。
この魔法陣は仁が出現させたもので強化魔法だ。全身を衝撃波に包まれている城山が手を伸ばし、魔法陣に触れれば簡単に破壊出来るが城山はその動作をする様子が無い。




