第178話 曖昧な神
デュラークの目の前に立つデュークを見つめる。
鎧に覆われたその姿は中身が分からない以上それを確認したいデュラークはどうしたものかと頭を悩ませる。
「イギリスを捨てて、何故管理する神に入った?」
デュークの声を聞いて、デュラークは弟だと確信する。
「大きくなった様で安心した」
鎧に覆われたデュークの姿は正確に認識は出来ない。
しかし、デュラークはデュークの成長をしっかりと目に焼き付ける。
鎧の胸の中心にはデカイ魔法石が埋め込まれている。
これにより会話や匂いなどを感じる事が出来る。
錬金術でこれ程のこれをやっているデュークにデュラークは素直に喜び、誰が見ても読み取れる表情を見せる。
そんなデュラークを見てデュークは戸惑う。
「何故そんな顔をする?」
「しっかりと見えている様だな?」
デュラークに警戒する事は無い。デュークが手にデュラハン・ブレイブを持っていたとしても。
デュラークの手には機械仕掛けの神を賢者の石と共に錬金術によって造られた機械仕掛けの剣を手にしていた。
しかし、デュラークが警戒しないのはデュークよりも性能が良い剣を持っていると言う理由では無い。
デュークから殺意を感じないからだ。
「ずっと……聞きたかった」
「何を?」
「何故……管理する神に入った?」
「……神がそこに居た」
デュラークのその言葉にデュークは言葉を失う。
そんなデュークにデュラークは話を続ける。
「神はどんな姿をしていると思う?」
「神なんて居るわけ無いだろう」
「……そうだなぁ。だが、見た時……知るだろう……神の存在を」
「神だと?」
「……お前が知るにはまだ早すぎる」
デュラークは神の存在を明確にする事なく、転移魔法でデュークと共に元居た場所に転移魔法で移動する。
ーーーーーー
デュラークとデュークが地下施設で話をしている最中、チーム[クリムゾン]と城山一哉の戦いが始まろうとしていた。
城山のその能力によってチーム[クリムゾン]は窮地に立たされていた。
原型崩壊
それが城山一哉の能力だ。
城山が認識した物を跡形もなく破壊する能力で、城山は主に人差し指と中指を擦らせる事によって造られる衝撃波をぶつける攻撃方法を好む。
その衝撃波には仁の紅蓮の炎、氷の金剛石も簡単に破られる程の威力を持つ。
衝撃波に唯一対抗出来たのは正宗の名殺神剣だけだ。