第174話 足りないもの
デュラークは手に持つ剣を完全なデュラハン・ブレイブを完成させる為、錬金術で足りない部分を補う為、デュラークはマーリンの元へやって来た。
「いつ儀式は終わる」
「知らねぇよ。光の聖剣を造ってらしいからな。時間はかかるぞ……かなりな」
「……光の聖剣?」
デュラークは聞いた事があったチーム[円卓の騎士団]は人工的にエクスカリバーを大量に造る動きを見せていると耳にしていた。
聖剣を造るとしたら白魔術の素材して造り出すのだろうなと考えるデュラークの目の前に突然現れる。
魔術師と一目見れば分かる服装に身を包んだ女ーマーリンが現れる。
そんなマーリンの隣には一人の男も一緒に立っていた。
「随分と早く終わったんだな?」
「彼が私を求めていた様だからね。それに彼も手伝ってくれたから」
「そうか。ならこいつは任せる。俺はもう行くぞ」
「えぇ、後は私がやるわ」
モルドレッドがキャメロット城に入るのを確認するとマーリンはデュラークの顔を見つめる。
「僕もここに居ても出来る事は無さそうなので」
「えぇ」
「何かありましたら」
ツンツンの金髪の少年もこの場から離れ、無言が続く中デュラークはここにやって来た理由をマーリンに告げる。
「この剣でデュラハンを造りたい」
デュラークは包み隠さずに告げた。
無理難題を言えば断れる可能もあるが、目の前に居るマーリンと言う女性にはその気遣いは必要無いとデュラークは考え、ありのままを伝えた。
マーリンは暫く、考えると一つの可能をデュラークに伝える。
「足りないのでは?」
「足りない?……何が?」
デュラークは錬金術師としても世界中から評価を受ける人物だ。
そんな彼をクラーク家彼を守ると言う名目で部屋に閉じ込め、錬金術を使わせ続けた。その事があったからこそデュラークは錬金術師として世界トップクラスの錬金術を手に入れた。そんなデュラークが白いチョークで描かれた魔法陣も賢者の石に不備はなかった。それでもデュラハン・ブレイブは完成出来なかった。
マーリンが言う通り、何かが足りなかった。
しかし、デュラークは出来る限りの手は尽くした。
だとしたら、デュラークの知らない知識が存在している事になる。
「貴女には分かるんですか?……足し無いものが何なのか?」
「知っていますが……それは……人として踏み外す事になるものよ」
「人として?」
「……黒魔術の上があるとしたら?」
「……あるのか?」
「どうかしら」
マーリンは笑みを溢しながら、キャメロット城に戻っていく。