第172話 弟を救う武器(デュラハン・ブレイブ)
多数の魔法、能力、異能を持つ世界でただ一人の男が狙うのはデュークの白魔術:錬金術を奪うためベルセルク・フルベルクは動く。それはイギリスとチーム[ヴァルハラ]が激突する事を意味している。
チーム[ヴァルハラ]はベルセルク以外にも副リーダーのジークフリード・アンサンブルやヘラクレス・リックマンやブリュンヒルデ・キース等50人を超えるチームだ。
この戦争は回避しなければいけない。
回避出来る方法はデュークをチーム[ヴァルハラ]に差し出すか、命を絶つか、それとも能力喰いの盲点をつくかのどれかしかない。
デュラークは能力喰いの盲点をつく方法を選ぶ。
「デュークは殺させない。チーム[ヴァルハラ]にも渡さない。……頭を取る」
「はぁ?」
無理な事を告げるデュラークにドラゴは驚きの声を上げる。
「おいおい、頭取るって……確かに能力喰いは脳を摂取しないといけないが、頭なんて取ったら死ぬだろう?」
「死なない方法があるとしたら?」
「出来るとでも?」
「出来るさ……これを使えば」
デュラークはポケットから賢者の石を取り出し、ドラゴに見せつける。
ドラゴは理解できなかった。
賢者の石を使ってデュークの頭を取り除き、生かす事など出来るわけが無いと考えるドラゴとは違って、デュラークはやるつもりだ。
そんな自信溢れる表情のデュラークを見てドラゴは笑みを溢す。
「今から一時間やる……やって見せろ」
「30分で充分だ」
強気なデュラークを見てドラゴは竜の口に入る。
竜はゆっくりと屋敷の外に出る。中庭に居た無数の竜は魔導艦隊ーキングに戻る。
「デュークは殺れたのか?」
魔導艦隊ーキングの甲板に無数の竜の集合体となりドラゴは自身の姿に戻った瞬間に一人男が近づく。
「デュラークに時間をやった」
「兄弟、最後の時間か?」
そんな質問をした男にドラゴは笑みを溢し、告げる。
「生きたまま、首を切断するらしい」
「何の冗談だ?」
「あいつは本気みたいだがな」
「同じドラゴ家の人間として情でもかけたか?」
魔導艦隊ーキングに乗ることを許されたチーム[ブルースカイ]の副リーダーは威圧しながらリーダーのドラゴに問い詰める。
「他の奴よりも情はあるぞ。……俺とあいつは」
「……俺が何を言っても止まらないんだろ?」
「どうだろうな?」
「はぁ~」
チーム[ブルースカイ]の副リーダーの男は諦めた様にため息を溢す。
そんな中、デュラークは屋敷に飾られた刀身の無い剣を手に取る。
「これで造る……弟を救う武器を」